人権の尊重

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人権尊重の取り組み

人権尊重に対する考え方

ローソンは2021年6月、人権に関する最上位の基本方針として「ローソングループ人権方針」を制定しました。
この方針を実現するため、ローソンは事業活動のあらゆる場面において人権を尊重し、事業活動に関わるすべての人々と信頼関係を築き、人権尊重の取り組みを進めます。
ローソンでは、2022年5月に「国連グローバル・コンパクト」に署名しました。「国連グローバル・コンパクト」は、人権・労働・環境・腐敗防止の4分野、10原則を軸に、国際社会において持続的な成長を実現するための世界的な取り組みです。
今後とも、ローソンは、「国連グローバル・コンパクト」署名企業として、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」等の国際規範を支持・尊重しながら、人権を尊重した企業活動を行ってまいります。

推進体制

ローソンでは、CRO※1の監督のもと、法務部にて人権方針の推進計画を立案し、その計画に基づき、各部門で活動し、人権尊重の取り組みを進めています。それぞれの取り組みの進捗状況については、CROが委員長を務めるコンプライアンス・リスク管理委員会会議で定期的に確認するとともに、取締役会にも定期的に報告しています。
また、ローソングループコンプライアンス・リスク管理委員会会議においてもローソンの取り組み状況を共有し、ローソングループ各社での人権尊重の取り組みに活かしています。

ローソンにおける人権推進体制

ローソンにおける人権推進体制は以下の通りとなります。コンプライアンス・リスク管理委員会会議は取締役会の監督のもとに置かれ、報告を行います。またコンプライアンス・リスク管理委員会会議は人権リスク・人権コンプライアンスという観点から会議の課題として整理を行い、法務部やCR責任者(※2)その他の各部門と協働しながら推進を行います。法務部は各本部と連携し、人権方針に基づく各タスクの実行計画の立案、関係者への対応依頼、関係者対応状況の進捗管理・取りまとめ、人権尊重に関する取り組みの提言、人権方針のアップデートなどを行います。
  1. CRO(最高コンプライアンス・リスクマネジメント責任者):ローソングループの法令等遵守及びリスク管理の制度・体制整備に関する最高責任者
  2. CR責任者:CROを補佐するため、所属グループの法令等遵守に関する問題の掌握並びにリスクを未然に防止する体制の構築及び実施を図る部門の責任者

人権デュー・ディリジェンス

ローソンは、事業活動において生じる人権への負の影響を特定し是正するため、人権デュー・ディリジェンスを実施します。人権への影響評価においては、ローソンが人権に対して負の影響を及ぼし、またはこれに関与したことが明らかになった場合、その救済に取り組みます。また、人権デュー・ディリジェンスの結果を定期的に評価し、不十分な場合には是正します。

各プロセスについて、以下のとおり、取り組んでいます。

リスク特定/対応(予防・是正)

ローソンでは、各本部及び関係会社へのヒアリングや、ビジネス上の関連性の高い主要なお取引先さまとの対話や第三者による監査、ステークホルダー・エンゲージメントプログラムへの参加を通じた市民社会との対話等を進めており、継続的に人権リスクの把握・特定を行っています。特に注力するものとして、お取引先さまを対象としたサステナビリティ・アンケート(人権問題を含む)を毎年実施しており、サプライチェーン全体を見渡した人権リスクの把握・情報収集に努めています。

人権リスクの特定状況について

バリューチェーンのプロセス及びステークホルダーとの関係を踏まえながら、潜在的に重要な人権リスクについて、以下のように整理をしながら、特定を進めています。

ローソンでは、人権リスクを4つのステークホルダーと6つのプロセスの組み合わせによって分類をしています。ステークホルダーとは「お客様」「当社従業員」「お取引先様」「地域社会」の4つです。プロセスとは「原材料」「製造」「物流」「店舗」「お客様」「廃棄」の6つです。ステークホルダーを軸としてみた場合、お客様に対して発生する人権リスクはプロセス「店舗」での不当表示および個人情報漏えい、プロセス「お客様」での購入後の健康被害です。当社従業員に対して発生する人権リスクは採用~処遇~退職という一連の流れですが、これらはプロセス「製造」での差別、プロセス「物流」でのハラスメント、プロセス「店舗」での労働環境、プロセス「お客様」での個人情報漏えいに分類されます。お取引先様に対して発生する人権リスクはサプライチェーン上の人権リスク(強制労働・児童労働・受け入れ外国人)、強引な要求等(優越的地位の濫用)の2点ですが、これらはプロセス「原材料」「製造」「物流」「店舗」の4つに該当します。地域社会における人権リスクはプロセス「廃棄」での廃棄時の環境汚染(廃プラなど)です。

具体的な人権リスクと対応状況

ローソンが認識する人権リスクは多様ですが、影響評価のもと、ライツホルダー(人権に関する権利をもつ人)にとって深刻であり、ローソンの事業活動において負の影響を軽減すべきものとして優先するリスクの内容、及び対応状況は以下のとおりです。

リスクの対象者 人権リスク 発生過程 深刻性 対応状況/展望
お客さま 健康の権利の侵害 ローソンではさまざまな食品を提供していますが、アレルゲン表示が不適切な場合、お客さまに健康被害が発生するリスクがあります。
また、店内調理商品の加熱などが不十分な場合など、調理過程が不適切なことによる健康被害の発生リスクや、アルコールに関する表示が不十分な場合、子どもが誤って摂取するリスクもあります。
誤ってアレルギー食材を口にした場合や食中毒の場合など、状況によっては生命の危険にも関わります。また、子どものアルコール摂取は、その健全な身体の発達等にも影響します。 健康被害を発生させないためのルールやオペレーションを確立し、随時リスク軽減のための見直しをしています。万が一、リスク事案が発生した場合には迅速に社内共有し、原因特定と再発予防について確認する体制を取っています。
お客さま、店舗/本部で働く労働者 多様性に対する理解の不十分 多様性に対して理解が十分でないことにより、差別的または配慮を欠く言動をしてしまうリスクがあります。 差別的な言動を受けることは耐え難い精神的苦痛を伴うものであり、深刻です。 多様性を尊重する取り組みとして、店舗での身だしなみ基準を改定し、宗教上の理由から頭髪を覆う布類の着用を認めることにしました(リンク:2024年6月4日ニュースリリース)。
また、多様性に関して、定期または不定期に研修を実施しています。特に、障がい者とLGBTQについては、社内啓発等に注力しています。
LGBTQ及び障がい者の取り組みについてはこちらへ
サプライチェーンで働く労働者 強制労働・児童労働の発生 ローソンで取り扱う商品のサプライチェーンを遡ると、その過程上で、強制労働・児童労働が発生しているリスクがあります。 強制労働・児童労働は、その人が自分らしく人格的に生活を送ることの根本的な妨げになる問題であり、最も深刻な課題の一つとして認識しています。 主要な原材料ごとに一般的にどの国・地域に強制労働・児童労働のリスクがあるかは各種公表資料に基づき把握しています。今後に向けて、責任ある調達のあり方について、実務的な検討をしてまいります。
お客さま プライバシーの権利(個人情報保護含む)の侵害 ローソンの事業活動ではお客さまのさまざまな情報を取り扱います。これらの情報の管理が不適切であることに起因して、プライバシーの侵害や個人情報の漏洩、または予期しない利用をしてしまうリスクがあります。 一度侵害されたり漏洩してしまうと、生活に大きな影響を与え、また、その回復は困難なことがあります。 お客さま情報の取り扱いについては統制の上、ルールの周知に努めています。
サプライチェーンで働く労働者 労働安全衛生の不十分 ローソンで取り扱う商品の製造過程等において、安全衛生トレーニングが不足していたり、必要な注意喚起がなされないことにより、労働者の身体の安全への影響リスクがあります。とりわけ、受け入れ外国人の多い環境においては、多言語化対応や必要なフォローが十分になされないことにより、リスクが高まることを認識しています。 身体の安全への影響は、場合によっては生命への危害に及ぶ可能性もあり、深刻です。 製造ベンダー(製造委託工場)・サプライヤー等に対する人権監査や対話の機会を通じて、人権リスクにつながる点の気づきを促すことや、リスク軽減のための好事例の共有を図り、ローソンのサプライチェーン全体での人権リスク対応を推進してまいります。
店舗・本部で働く労働者 ハラスメント 職場においてパワーハラスメントやセクシャルハラスメント等が発生するリスクがあります。また、店舗やコンタクトセンターにおけるカスタマーハラスメントのリスクもあります。 ハラスメントは精神的な抑圧を伴うもので極めて深刻なものです。その人の生活・人生において、家族を含めて大きな影響を与えます。 ハラスメントの防止のために、定期または不定期に研修を実施しています。また、カスタマーハラスメントについては、基本方針を策定し、取り組んでいます。
リンク:2024年8月9日ニュースリリース)。
すべての人 安全でクリーン、かつ健康的で持続的な環境への権利の侵害 ローソンの事業活動自体のみならず、サプライチェーン全体において発生する温室効果ガスは、地球温暖化によりさまざまな形で人権に影響を及ぼします。例えば、酷暑による屋外労働者の健康への影響や、海水面の上昇による生活圏への影響、異常気象の頻発による生活や安全への影響等を認識しています。温室効果ガス以外にもさまざまな環境への影響要素を認識しています。 持続的でない状態になることは回復が困難であるということであり、最も深刻なリスクであると認識します。 ローソンの「環境」への取り組みは以下をご参照ください。環境の問題と人権の問題は切り離せないものであるとの認識のもと、積極的な取り組みに努めてまいります。
環境への取り組みについてはこちらへ

以上のほか、脆弱な立場に置かれやすいライツホルダーに着目する取り組みとしては、次のとおりです。

脆弱な立場に置かれやすいライツホルダー 着目する理由 取り組み
障がい者 社会のインフラとして機能するコンビニエンスストアでは、障がいのあるお客さまとの関係で、来店を通じた接点が現にまたは潜在的に多くあります。また、ローソングループ内でも、障がいのある仲間が一緒に働いています。
この点、障がい者が他の者と平等にすべての人権を享有する上で必要な取り組みとしての合理的配慮が重要であると認識していますが、その理解及び実践が不十分な場合、人権リスクにつながるおそれがあるものと考えます。
次のとおり、実際に当事者の声を聴きながら、理解を深め、実践するよう取り組んでいます。
  1. ①社員向けに、ユニバーサルマナー検定の受講推奨施策などを実施しています。また、FC加盟店オーナーにも同検定を案内しました。詳細はこちらへ
  2. ②店舗で順次入れ替えを進めている新ATMは、ユニバーサルデザインを導入しています。製作時には、実際に障がいのある当事者にテストでご利用いただき、その声を反映しています。詳細はこちらへ
外国人労働者 人権デュー・ディリジェンスのもと、お弁当やおにぎりなどを製造するお取引先さまの工場において、多くの外国人労働者が働いていることを確認しています。また、店舗でも、多くの外国人留学生がクルーとして働いています。
この点、移住労働者が来日に至り就労し帰国するまでのプロセス全体で、人権リスクを潜在的に抱えるものであることについて、ステークホルダー・エンゲージメントを通じ、認識しています。
これらを踏まえた必要な調査や配慮などの取り組みが不十分な場合、人権リスクにつながるおそれがあるものと考えます。
  1. ①各お取引先さまには人権方針などの内容を周知する文書を定期的に送付し、ローソングループの考え方をお伝えしています。
  2. ②主要な製造工場において人権監査を実施し、人権リスクを具体的に確認しています。特に、安全に関わる事項について言葉の壁に起因する懸念がないか、着目しています。人権監査時には、対話による相互理解に努めるほか、クローズドな環境で外国人労働者(複数名のうち必ず女性を含む)にインタビューをしています。
  3. ③店舗で働く外国人クルーとの関係では、多言語業務マニュアルの整備等をしています。詳細はこちらへ
子ども 子どもは成人と異なる健康・安全上の留意が必要なことがあります。店舗の利用機会において、商品等に必要な表示がなされていないことなどにより、健康・安全面でのリスクがある場合があります。
  1. ①お子さんが手にとりやすいデザートや菓子商品には、アルコールが含有されている場合があり得ます。そうした場合を踏まえ、アルコール含有の旨の表示をチェックする体制を運用しています。
  2. ②ローソングループ人権方針の改定の際に「子どもの権利とビジネス原則」を支持・尊重する国際規範として追加・明示しています。
  3. ③全国のクルー同士で情報交換等ができるコミュニティアプリ「ろーちゃん」の利用規約では、子どもの安全基準に関するポリシーを明記しました。CSAE・CSAMは一切許容せず、不適切な投稿がある場合は事前に差し止めることができる体制を運用しています。
※CSAEは児童の性的虐待及び搾取を、CSAMは児童性的虐待コンテンツを意味します。

予防・是正としては、上記記載のほか、人権リスクの顕在化予防を目的として各種研修を実施するほか、お取引先さまに対する啓発活動(お取引先さまに対する人権方針の周知活動、主要なお取引先さまとの対話を通じた人権方針の共有等)も実施しています。また、契約雛型へCSR条項を導入するほか、新規取引先の入札条件としてローソングループ人権方針を含む各種方針類の賛同をお願いしています。

CSR条項:ローソンが用意する主な契約雛型において、ローソングループ人権方針・ローソングループ取引方針等への賛同や人権デュー・ディリジェンスへの協力を内容として含むCSR条項を導入しています。
これにより、ローソングループ人権方針への賛同の輪を広げるほか、人権デュー・ディリジェンスの実効性を担保します。

追跡調査

お取引先さまアンケートや従業員に対するコンプライアンスアンケート等により取り組みの浸透度合いを確認し、改善点を継続的に抽出していきます。例えば、ローソングループ人権方針の認知度を定点観測し、理解を促進するために研修・啓発・対話を強化するなど取り組んでいます。

情報公開

取締役会やコンプライアンス・リスク管理委員会会議等で定期的に取り組み状況について報告し、コーポレートサイト等において取り組み状況を開示しています。

ステークホルダー・エンゲージメント

当社は、経済人コー円卓会議日本委員会が主催する2024年度ステークホルダー・エンゲージメントプログラム(人権デュー・ディリジェンスワークショップ)に参加し、ワークショップでは人権有識者、NGO/NPOと幅広い人権問題をテーマに議論を行いました。2025年度も同プログラムに参加しています。このプログラムで得た気づきや知見をもとに、ローソンの事業特性を踏まえた人権課題について検討を深め、人権尊重の取り組みに活かしています。

人権に関する教育・啓発

ローソンは、事業活動に関わるすべての人々が人権尊重の重要性を理解し、人権尊重の取り組みを進められるよう、教育及び周知を推進します。

人権研修の実施状況

人権の意義、人権方針の内容について、事例検討も交えながら、周知・浸透を図っています。また、人権に関する取り組みとして優先度を高めているお取引先さまとの向き合いになる商品部門への研修を重視して実施しています。

実施時期 実施内容 対象者
2021年10月 「ローソングループ人権方針」 商品本部全メンバー(必須参加)
2022年4月 「ローソングループ人権方針」 商品本部新メンバー(必須参加)
2022年5月 「ローソングループ人権方針」 全従業員(任意参加)
2023年1月 今知っておきたいサステナビリティ ~環境・人権~ 全従業員(任意参加)
2023年8月 サステナビリティ経営のためのガバナンス 全グループ役員(原則参加)
2024年1月 ハラスメント 全グループ役員(原則参加)
障がいのあるお客さまへの合理的配慮 全従業員(任意参加)
2024年5月 今知っておきたい多様性 ~IBD・障がい・LGBTQ~ 全従業員(任意参加)
2024年6月 CSR監査(人権監査) 商品本部全メンバー(任意参加)

お取引先さま等のステークホルダーの皆さまに対しても、ローソングループ人権方針を共有し、理解と協力を要請しています。また、主要なお取引先さまに対しては、個別にローソングループ人権方針の内容・趣旨をご説明する機会を設けています。

救済(苦情処理メカニズム)

ローソンでは、人権に関する救済の実効性を確保するために、次のとおり多様なチャネルを用意して、ライツホルダーが声をあげられるように取り組んでいます。なお、各窓口の存在の周知が重要な課題であることを認識し、社内向けについてはeラーニングなど定期的な研修の中で取り上げるほか、お取引先さま向けについても対話の機会等を通じた周知に努めています。

ローソン本部従業員向け
人権侵害を含むコンプライアンス・リスク管理上の相談や内部通報を受け付ける相談窓口を設置・運用しています。同窓口の存在は、eラーニングなど定期的な研修の中でも取り上げており、周知に努めています。
お取引先さま向け
お取引先さまが利用することができる「お取引先さまほっとライン」を開設しており、人権侵害に関する苦情も受け付けています。
FC加盟店オーナー向け
FC加盟店オーナーが利用することができる「オーナーほっとライン」を開設しており、人権侵害に関する苦情も受け付けています。
クルー向け
ローソンクルーが利用することができる「クルーほっとライン」を開設しており、人権侵害に関する苦情も受け付けています。