基本的な考え方
ローソンでは、「ローソングループ企業行動憲章」及び「ローソン倫理綱領」に基づいたコンプライアンス・リスク管理体制を整備しています。行動規範、教育・研修、コミュニケーション機能、モニタリング活動を有機的に関連させながらPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを回し、高い倫理観と誠実さと思いやりをもって行動するよき企業市民を目指しています。
コンプライアンスの推進
コンプライアンス推進体制図
推進者の設置
コンプライアンスの推進・定着及びリスク管理を推進するため、CRO※を任命しています。また、各本部・室・カンパニーにCR責任者を設置し、施策推進の旗振り役として、自部署のコンプライアンス施策やリスク対応策を策定・周知・実行し、社会規範の遵守を重視する風土づくりを推進しています。
CRO(最高コンプライアンス・リスクマネジメント責任者):ローソングループの法令等遵守及びリスク管理の制度・体制整備に関する最高責任者
運用管理
CROのもとにコンプライアンスを統括する部署として法務部を、リスク管理を統括する部署としてリスク・情報セキュリティ統括部を設置しています。これら部署が連携して、組織横断的なコンプライアンス・リスク管理委員会会議の事務局となり、各部署にて実施している施策の進捗管理を行って、実効的なコンプライアンス・リスク管理体制の推進に取り組んでいます。また、リスク・情報セキュリティ統括部はIT部門と連携し、情報セキュリティ委員会会議の事務局となり、情報セキュリティリスクのさらなる管理強化を進めています。なお、コンプライアンス・リスク管理委員会会議のもとに3つの小委員会(リスクマネジメント小委員会、知財・景品表示対策小委員会、海外ローソングループコンプライアンス・リスク管理小委員会)を別途設置して、重点施策の進捗管理を行い、リスクの予防を図っています。
監査部門と連動し、随時コンプライアンス監査の結果報告を受けながら、施策の徹底指導や改善提案を行っています。
コンプライアンスに関する監査
モニタリング活動としては、全従業員を対象とした意識調査のほか、商品の納入や店舗建設などのお取引先さまを対象にしたアンケートを継続して実施するなど、広い視野に立ったコンプライアンス体制の見直し・改善を行っています。コンプライアンス・リスク管理に関する施策や違反事案の状況、コンプライアンス・リスク管理活動方針や重点施策などについては、定期的に取締役会へ報告しています。
コンプライアンスに関する教育・研修
行動規範の策定
「グループ理念」「ローソンWAY」に基づいて行動を起こす際に注意すべき点を"倫理の観点"に基づいて具体的に示すため、「ローソン倫理綱領」を制定しています。そのほか、「ローソングループ人権方針」、「ローソングループ個人情報保護方針」、「ローソングループ取引方針」などを制定し、グループ全体で適正に業務を遂行するよう取り組んでいます。また、これらをまとめた「ローソングループC&Rハンドブック」を発行し、全従業員に配布して周知に努めています。
コンプライアンス意識を高めるための教育・研修
ローソンでは、毎年全従業員を対象とした「コンプライアンス&リスク管理研修」を実施し、倫理意識や危機対応能力のさらなる向上を目指しています。また、入社時や管理職登用時の研修、職種別の研修、経営層に対する外部講師によるコンプライアンス研修を実施することにより、体系的な学習ができる教育体制を整備しています。研修のほかにも、職種別に注意が必要な法令や関連する社内ルール等をまとめたコンプライアンスガイドブックを作成したり、ガイドブックから出題するコンプライアンスクイズを実施したりするなどして、実務に即した自主学習ができる環境を整えています。これらの教育・研修をリスク状況の変化に応じて内容を見直しながら継続して実施することにより、あらゆる職位・職種の従業員が問題点を共有化して業務改善へとつなげるよう取り組んでいます。
研修名 | 対象者 | 開催 頻度 |
主な学習項目 | 2023年度 受講者数 |
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入社時研修 | 定期社員入社時 研修 |
定期入社者 | 年1回 | 会社概要や戦略、グループ理念などとともに、ローソン従業員として必要なコンプライアンス及び情報セキュリティに関する知識を学習 | 98名 |
定期社員研修 | 定期入社者(1年目) | 年4回 | 売場づくりや衛生管理、仕事の進め方などの通常業務とともに、これら業務に関するコンプライアンス及び情報セキュリティに関する知識を学習 | 101名 | |
通年入社時研修 | 通年入社者 ※全部署・全職位対象 |
年10回 | 会社概要や戦略、グループ理念などとともに、ローソン従業員として必要なコンプライアンス及び情報セキュリティに関する知識を学習 | 85名 | |
階層・職種別研修 | 新任管理職研修 ※新任初級管理職研修、新任上級管理職研修も実施 |
管理職登用者 | 年2回 | 部下をもつ管理職に求められるもののほか、マネジメントに必要なコンプライアンス・リスク管理、情報セキュリティ管理に関する知識を学習 | 175名 |
役員研修 | ローソン及びグループ会社の役員 | 年2回 | 役員として必要な法令等知識、役員としての心構えを学習(外部講師による講義) | 250名 ※23年度受講者 |
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AMD研修 | AMD登用者 | 年2回 | 独禁法、景表法、食品表示法、知財関連法等、マーチャンダイザーに必要な法令やリスク管理に関する教育を実施 | 53名 ※23年度受講者 |
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サイバーセキュリティ勉強会 | IT部門従業員(任意) ※社員、クルー、派遣社員等、及び委託先従業員を含む |
年4回 | IT部門向けに、脆弱性管理やランサムウェア等の攻撃等のサイバーセキュリティに関連した専門教育を実施 | 240名 ※23年度受講者 |
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従業員教育 | コンプライアンス&リスク管理研修 | 全従業員 ※社員、クルー、派遣社員等 |
年1回 | コンプライアンス・リスク管理及び情報セキュリティ管理に関する基礎知識、事例共有、業務における心構え・対応方法 | 全員 |
コンプライアンスクイズ | 全従業員(任意) ※社員、クルー、派遣社員等 |
年4回 | 個人情報保護法、独禁法・下請法、フランチャイズ契約、インサイダー取引、贈収賄等、ローソンの事業に必要な法令等知識をクイズ形式で学習 | 13,137名 ※23年度参加人数累計 |
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標的型攻撃メール訓練 | 全従業員 ※社員、クルー、派遣社員等、及び当社パソコン貸与の委託先従業員を含む |
年2回 | 疑似的な標的型攻撃メール訓練を通じ、不審なメールを受信した場合の対処やマルウェア感染の恐れ発生時等の報告手順などについて学習 | 22,048名 ※23年度のグループでの対象者数 |
相談・通報窓口
通報者保護を重視した相談・通報窓口の設置
ローソンでは、問題の早期把握と是正を図り、コンプライアンス経営を推進することを目的に、内部通報体制を整備しています。
人事部門が相談を受け付けるセクハラ・パワハラ専用の窓口や、人権侵害、贈収賄、労務問題をはじめ幅広くコンプライアンス上の相談・通報を受け付ける相談・通報窓口を整備しています。従業員が自身の要望に合わせて利用しやすい窓口を選択できるよう、Web投稿ができる社内窓口のほか、匿名で相談ができる「ローソングループ社外相談・通報窓口」を設置しています。
相談・通報者が安心して相談・通報できるよう、調査担当者や調査方法は相談・通報者の意向を汲みながら決定しています。また、相談・通報者が特定されないよう、あるいは通報が契機であることがわからないよう工夫をし、相談・通報者の保護に努めています。対応終了後においても、相談・通報者に報復行為が行われていないかを確認するため社外相談・通報窓口から確認連絡を行うほか、情報の漏洩、相談・通報者や調査協力者の探索、報復行為等の不利益を与える行為が処分の対象となることを社内規程で明記し、従業員へ周知しています。
上記の相談・通報窓口のほか、お取引先さまの従業員や店舗クルー、FC加盟店オーナーから匿名性を保って相談できる窓口(ローソングループお取引先さま専用ほっとライン、ローソン店舗クルーほっとライン、オーナーほっとライン)も整えており、相談・通報窓口案件と同様の調査、是正等の対応を行っています。また、カスタマーセンターで受け付けた人権侵害や腐敗その他コンプライアンス違反に関するお申し出に関しては、速やかに上記相談・通報窓口事務局へ報告される体制としており、問題の早期把握と是正に取り組んでいます。
これら窓口の認知度・理解度向上のため、各種研修で相談・通報窓口の運用体制の仕組みや運用実績、相談事例を紹介するなどし、安心して利用できる窓口となるよう周知を強化しています。
相談・通報窓口の運用状況については、取締役会及び監査役会に定期的に報告を行っています。また、調査の結果、法令違反行為等が行われていることを確認した場合は、その事実及び対応策を代表取締役及び監査役へ報告することとしており、代表取締役の指示のもと改善対応に取り組む体制を整備しています。
各窓口の特徴と受付件数
窓口の種類 | 特徴 | 受付件数 | |||
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2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | ||
社内相談の窓口 |
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4件 | 7件 | 8件 | 20件 |
ローソングループ社外相談・通報窓口(弁護士事務所) |
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12件 | 5件 | 10件 | 10件 |
ローソングループ社外相談・通報窓口(民間委託先) |
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39件 | 47件 | 27件 | 29件 |
ローソングループお取引先さま専用ほっとライン |
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44件 | 20件 | 48件 | 57件 |
ローソン店舗クルーほっとライン |
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3,832件 | 3,594件 | 2,323件 | 3,367件 |
オーナーほっとライン |
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143件 | 91件 | 104件 | 64件 |
相談・通報の種類
ローソングループの従業員向け窓口において、2023年度に受け付け対応した件数・種類は以下のとおりです。(投書等、窓口以外の方法で受領したものも含みます)。なお、ハラスメントに関する申し出のほかに、人権侵害に関する苦情・通報はありませんでした。
グループ会社の連携を強化
グループ各社のコンプライアンス・リスク管理推進者が参加する会議で各社の課題を共有し、対応策のバックアップを行っています。また、各種研修のほか、従業員意識調査やお取引先さまアンケート等も合同で実施し、グループ全体のコンプライアンス・リスク管理体制の強化に取り組んでいます。このほかにも、ローソンの監査部門によるグループ会社の業務監査を通じて、ローソングループとしてコンプライアンス、リスク管理体制及び情報セキュリティ体制の改善などに向けた指導・助言なども行っています。
腐敗防止への対応
腐敗防止に関する方針と発生防止体制
ローソンは、役職員が遵守すべき行動基準を定める「ローソングループ企業行動憲章」において、贈答・接待の授受・供与を行わないほか、関係法令等で禁じられている腐敗行為(贈収賄、詐欺、横領、強要、談合、インサイダー取引、マネー・ローンダリング、 職権濫用、司法妨害、ファシリテーション・ペイメントなど)を行わないことを宣言しています。
この方針をもとに、公務員等に対する贈賄の禁止や代理店を通じた汚職行為の防止等を内容とした「贈収賄防止規程」を制定するとともに、防止策となるチェック手続きを具体的に定めたガイドラインを策定しています。これら規程・ガイドラインに則り、法務部が中心となって公務員等への利益提供や代理店起用、寄付などに関する必要な事前チェックを行っています。
このような腐敗行為防止の取り組みに対しては監査部門による監査を行っているほか、内部通報・相談窓口を整備して問題行為の早期発見・是正ができる体制を整えています。
これら腐敗防止に関する活動状況は取締役会へ定期的に報告し、その監督のもと、体制の改善・見直しを行っています。
万一、当社役職員が腐敗行為に該当する行為を行った場合には、速やかに対処・是正するとともに、必要に応じて腐敗防止のための取り組みの内容を見直し、再発防止に努めます。また、違反行為が事実であると確認された場合は、社内規程に従い厳正な処分を行います。
なお、2023年度において、腐敗防止に関連した法令違反や罰金・課徴金等はありませんでした。また、これら法令違反や法的措置、社内規程の違反等による役職員の処分・解雇等もありませんでした。
腐敗リスクの特定と対応
ローソンでは、全社リスク対応計画に基づき、毎年部署ごとにリスク項目の特定・評価を行っており、腐敗行為もチェックすべきリスク項目として設定しています。法務部が腐敗リスクの対策主管部署となり、リスクシナリオの策定や発生頻度・影響度等を評価するとともに、ローソンの事業活動において発生しうる贈収賄リスクについて各部署へのヒアリング結果に基づいて腐敗リスクが高い事業を特定し、発生防止のための事前チェック体制を整備しています。
これら法務部による全社的な腐敗リスク対応と併せて、各部署が自部署にて対処すべき腐敗リスクの特定と防止策の策定も行っており、法務部がそれら防止策の進捗状況を確認する体制を整えています。
併せて、海外事業におけるファシリテーション・ペイメントや金融事業におけるマネー・ローンダリング等も課題として認識しており、これらの発生防止に向けても取り組みを進めています。
腐敗防止に向けて教育・研修の実施
腐敗行為の防止に向けて、コンプライアンス・リスク管理委員会会議や役員向け・従業員向け各種研修の中での啓発を行うほか、従業員意識調査を通じて理解浸透の確認を定期的に行っています。併せて、「サプライヤー・サステナビリティ・アンケート」等を通じて、お取引先さまにおける腐敗防止の取り組み状況についても確認しており、お取引先さまとともに腐敗防止に向けた取り組みを進めています。
研修においては、職位ごとに接するおそれが高い具体的な場面を取り上げるとともに、規程・ガイドラインに定める禁止行為や事前チェック手続き等を解説し、理解促進に努めています。
贈収賄防止規程(要旨)
第1条(目的)
当社役職員が贈収賄防止のために遵守すべき事項を定めることを目的とすること。
第2条(適用範囲)
当社役職員の国内外すべての事業活動に適用されること。
第3条(定義)
各種用語(公務員等にはみなし公務員を含むこと等)の意義。
第4条(公務員等に対する贈賄の禁止)
公務員等に対する贈賄の原則的禁止。
第5条(公務員等以外の者に対する利益等の提供)
公務員等以外の者に対して違法または不当な職務行為を行わせることを目的とした利益等の提供禁止。
第6条(代理店等の起用)
代理店等に対する支払いが、不正、違法な働きかけのために利用され、または、その疑いがある場合には、そのような支払いの禁止。
第7条(不正な利益提供要求への対応)
不正な利益提供要求への対応手続き。
第8条(不当な利益等の享受の禁止)
当社の経営や事業判断または職務執行に不適切な影響を与えることを目的とする不当な利益等の享受の禁止。
第9条(記録管理の徹底)
記録管理の徹底。
第10条(規程違反行為への対応)
報告義務、調査・是正対応、不利益的取り扱いの禁止。
第11条(教育・研修)
定期的な教育・研修の実施。
第12条(監査)
本規程の遵守状況に関する監査。
第13条(懲戒処分等)
本規程違反に対する厳正な処分。
第14条(ガイドライン等の遵守)
本規程に関連するガイドライン等の遵守。
グローバルタックスポリシー及び2023年度国・地域別納付額
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