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CEOメッセージ

代表取締役社長 CEO
新浪 剛史

本日、2012年2月期通期決算を発表しました。主な連結業績数値は下記の通りです。

営業利益 617億円
(前期比111.2%)
経常利益 617億円
(前期比113.1%)
当期純利益 248億円
(前期比98.0%)

業績詳細につきましてはこちらをご覧下さい。

■2011年度決算について

当期につきましては、3月の東日本大震災を契機に、お客さまの近くにあっていつでも生活必需品が揃う「社会的インフラ」として、全国基盤のコンビニチェーンの価値が再評価されました。加えて、お客さまの購買データを活用した商品開発を行い、生鮮食品やプライベートブランド・ローソンセレクトなどの導入に努め、主婦層やシニア層をはじめとした客層の拡大に成功しました。
その結果、当期の既存店売上高前年比は105.4%となりました。また、総荒利益率は、30.1%と前年同期より0.5%ポイント低下しましたが、2010年10月のたばこ増税に伴う、たばこの構成比上昇で前年同期差1.0%ポイント低下したことによるものです。たばこを除いた総荒利益率は計画を上回り、前年同期差0.5%ポイント改善しております。
これは、共通ポイントプログラムPonta(ポンタ)カードのデータを活用した計画発注の推進により、取引条件が改善したことと、原材料調達における付加価値向上努力が引き続き奏効したことによるものです。
これらの結果、連結営業利益は617億69百万円(前期比111.2%)と大幅な増益となりました。これにより、9年連続の増益となり、過去最高益を更新することができました。 なお、東日本大震災に伴う災害損失34億円、過年度資産除去債務損失82億円をカバーし、税金等調整前当期純利益は前年同期比104.2%の462億円と増益したものの、法人税の減税に伴い繰延税金資産を取り崩した分、法人税等調整額を16億円マイナス計上したことが影響し、当期純利益は248億円(同98.0%)となりました。
これらの特殊事情による特別損失の影響を控除して算出した、実質ROEについては、15.1%と、目標の15%を達成することができました。

■中長期的な重点施策について

Pontaカードのデータ分析によるCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の推進と、SCM(サプライ・チェーン・マネジメント)の改革により、中長期的に持続可能な成長を目指します。

具体的には、女性やシニアのお客さまに向けた客層拡大の推進によるコンビニエンスストア事業の収益拡大と、エンタテイメント・eコマース事業と海外事業を中期的成長分野と捉えた経営を推進し、以下の施策を柱に取り組んでいきます。

【Ponta会員のデータ活用によるCRMの推進】
Pontaカードを活用した、マーケティング分析や販売促進策を更に進化させてまいります。 Pontaの参画企業のカード発行枚数は約4,000万枚に達しました。会員売上比率も40%を超え、お客さまの購買行動分析において統計上の有意性が高まりました。
詳細なデータ分析を可能にしている点で、同業他社には類を見ない差別化要因となっております。今後更に、カード会員の購入データを分析し、マチ(地域)のお客さまの嗜好や年齢、性別に合わせた商品を開発していきます。
また、Pontaカードのデータ分析は、商品開発だけでなく、販売機会ロス(お客さまが必要としている商品が売場で品切れしていること)の削減にも活用します。
当社では、2010年度より、基幹情報システムを刷新し、機会ロスの数値化を行うことで機会ロスの「見える化」を実現しました。そして、全社的な機会ロスの削減の取り組みにより、発注精度の向上を推進しております。これらの業務改革プロセスを当社では「PRiSM(プリズム)」と名付けています。
2012年度以降も、機会ロスの削減を更に推進してまいります。発注精度の改善により、機会ロスが減ることで、お客さまの欲しい商品をきちんと品揃えすることができれば、お客さまの満足度が高まり、ひいては、お店の評価、すなわち売上の向上にもつながると考えています。

【サプライチェーン構造改革による業務効率向上と収益改善】
Pontaカードのデータ分析を活用し、サプライチェーンにおける当社独自の構造改革を進め、付加価値の向上を図ります。
原材料調達から、製造、配送、そして店舗販売に至るまでのサプライチェーンについては、店舗数の増大や取扱カテゴリーの拡大により、複雑化と多重化により、廃棄・二重作業等の無駄が少なからず発生しています。
これらの無駄を無くし、業務効率性を高めると共に、原材料から店舗まで一気通貫したローソン独自の製造小売業モデルを作り上げることで、中長期的に持続可能な利益成長が可能になるとみております。

【女性やシニアへの客層拡大】
今までCVSをあまり利用されなかった女性やシニアのお客さまにとって魅力的な店舗フォーマットや品揃えを実現していきます。
成長分野である生鮮コンビニエンスストア事業につきましては、業界のパイオニアである株式会社九九プラスの子会社化などを通じ、他社に先駆けて生鮮食品の取扱いを強化してきました。引き続き、住宅立地を中心に「ローソンストア100」や「生鮮強化型ローソン」を拡大していきます。
生鮮食品の導入推進や、惣菜、加工食品・日用雑貨など、生活必需品を中心としたプライベートブランド「ローソンセレクト」の強化により、お客さまの内食(家庭で調理する手づくりの食事)ニーズに応えるとともに、女性やシニアのお客さまを中心とした客層拡大を引き続き推進していきます。
医薬品・ヘルスケア需要への対応につきましては、医薬品販売の拡大を進めるとともに、お客さまが求める健康で快適な生活の実現に向け、ナチュラルローソンで培ったノウハウを活用した健康志向の食品の開発と販売を強化いたします。
一般用医薬品のコンビニエンスストア店舗での販売だけでなく、調剤薬局併設型店舗による本格的なヘルスケア事業も拡大していきます。

【エンタテイメント・eコマースの拡充】
エンタテイメント・eコマースを重要な成長分野と位置づけ、店頭に設置しているマルチメディア端末及びネットショッピングモール「Loppi(ロッピー)」を通じて、コンサートチケットや音楽・映像ソフトの販売にとどまらず、リアルの店舗ではスペースが足りずに取扱いができない商品をバーチャル店舗の位置づけで販売していきます。
これにより、Pontaカード会員に対し、幅広い商品の品揃えを提供することが可能になり、ポイントの蓄積も可能となるため、カード会員の当社へのロイヤリティーがますます高まると見込んでおります。
今後も、長年培ってきたリアルの店舗「ローソン」での信用・安心感を強みとして、eコマースにおいても、お客さまに利便性を提供することで、収益の向上を目指します。

【海外展開】
1996年に進出を果たした上海市では、インフラの未整備や文化の違いを乗り越え、2012年2月末でローソンの店舗数は314店舗にまで拡大しました。また、上海、重慶に加え、2011年度にはインドネシア、大連に進出しました。
2012年度は上海、重慶、大連、インドネシアなど合わせて、約500店の出店を行う計画です。
今後も、ROI(投資収益率)重視の考え方に基づき、中国大都市でのさらなる出店拡大と、他のアジア諸国への展開を進めていきます。

■2012年度利益計画・配当

2012年度の利益計画につきましては、PRiSM改革を更に推進し、商品力の強化や機会ロスの削減により、連結営業利益で660億円(前期比106.8%)と10年連続の増益を見込んでおります。
また、配当金につきましては、株主の皆さまに今後も中長期的にご支援いただきたいという想いから、2013年2月期の年間配当金は前期より10円増配し、1株につき190円を予定しています。

■取締役の交代について

なお、このたび、取締役・監査役の改選期に際して、新任の社内取締役として、副社長執行役員 COOの玉塚元一、同じく社外取締役として、大薗恵美(一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)、また、新任の社外監査役として帆刈信一の人事異動を決定いたしました。2012年5月29日の定時株主総会での承認をもって正式決定する予定です。
これにより、取締役7名、監査役4名のうち、女性が3名を占めることになります。今後とも、ダイバーシティーの推進により、コーポレートガバナンスの強化を進めてまいります。

今後ともより一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2012年4月12日

代表取締役社長 CEO

新浪 剛史

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