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CEOメッセージ

ローソンエンターメディア取締役による不正行為の発覚について

この度、社内調査により、株式会社ローソン(以下「当社」といいます。)の連結子会社である株式会社ローソンエンターメディア(以下「LEM」といいます。)の代表取締役専務(以下「専務」といいます。)および経理担当取締役(以下「取締役」といいます。)が権限を逸脱し、社内手続を一切経ずに独断で多額の資金を不正に流出させていたことが判明いたしました。

  • 本件の影響につきましては、どれだけ債権回収できるか次第ですが、最大で約150億円の被害と見ております。大変大きな金額ですが、財務の安全性の根幹を揺るがすことはありません。当社の業績に与える影響は一時的なものです。また、当社の基礎収益である連結営業利益505億円という当期計画は達成できる見込みです。
  • 第三者調査委員会を発足しました。皆さまにも徹底的な調査と再発防止の提案を速やかにご報告いたします。一方、経営者としてすぐにできることは実行していきます。私自身が管理体制の抜本的な見直しにコミットいたします。
  • 当期の配当については、現在予定している一株当たり年160円という水準は少なくとも維持します。株価面で株主の皆様にはご迷惑をおかけするかもしれませんが、継続保有していただける株主様にはより一層の株主還元で報いていきたいと思っております。
  • 当社はLEMに対し、85億円の融資枠を設定するなど、万全の支援を行ってまいります。また、コンサートなどの企画会社に対する支払いも進めていきます。
  • 私が当社の社長に就任して以来、皆様にはこのたびの件で、最大のご迷惑をおかけしたと反省しております。「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」という企業理念に立ち返り、中期的な収益改善を目指すことで必ず信頼を取り戻したいと思っております。

本件が判明した経緯、現時点における調査結果によって判明している事実の概要および今後の対応方針等につきまして、下記の通りお知らせいたします。 株主様、お客様、お取引先様、加盟店の皆さまをはじめ関係各位に多大なるご迷惑、ご心配をおかけすることとなり、深くお詫び申し上げます。

1.不正行為が判明した経緯 2010年1月24日、専務および取締役両名より、「LEMとの契約によってコンサート等の企画会社(以下「コンサート企画会社」といいます。)へチケット代金を支払っている株式会社プレジール(以下「プレジール社」といいます。)が、他に資金を流用していたため資金難に陥り、コンサート企画会社への支払いが不可能となっている」、また「取締役会の決議を経ずにLEMがプレジール社に肩代わりしてコンサート企画会社数社に対してチケット代金を支払った、また、プレジール社に対しても直接支援を行った」との報告が当社とLEMにありました。
報告を受けた当社は、急遽顧問弁護士を同席の上、専務および取締役の両名から事情聴取を行った結果、多額の資金が流出していることを確認しました。そこで、当社は、私、新浪剛史を委員長とし、顧問弁護士事務所(アンダーソン・毛利・友常法律事務所)および会計事務所(株式会社KPMG FAS)の協力のもと、合計21名から成る社内調査委員会を発足させ、詳細を調査したところ、以下の事実が判明いたしました。

2.不正行為の概要 LEMは、コンサート等のチケットを販売するにあたり、通常はコンサート企画会社からチケットの販売業務を直接受託しています。ところが、LEMは、 2007年11月に、プレジール社との間でのみ、LEMがお客様からお預かりしたコンサート等のチケット代金を、プレジール社を通してコンサート企画会社へ支払うという内容の三者間契約をプレジール社、コンサート企画会社、LEMとの間で締結しました。
この三者間契約の仕組みは、LEMのナンバー2である専務が起案し実行したものです。チケット販売業界では、コンサート等のチケット販売を受託するために、チケット販売事業者がコンサート企画会社に協賛金を支払う場合があります。この仕組みの趣旨は、プレジール社がLEMに代わりコンサート企画会社に協賛金の一部または全部を支払うことにより、従来に比べてLEMの協賛金支払額の減額等が見込めるという、専務の説明でした。
しかし、プレジール社は、LEMからのコンサート等のチケット代金受領日からコンサート企画会社への支払日までの期間が長期(2ヶ月~6ヶ月程度)にわたることで、資金がプレジール社に滞留することを利用して、他へ資金を流用していました。
2008年10月ころより、プレジール社からコンサート企画会社への支払いが遅延するようになり、コンサート企画会社から専務へクレームが続くようになりました。そこで専務および経理担当取締役両名は、相談の上、プレジール社がLEMからのチケット代金を他へ流用していることを認識しながら、社内の正式な決裁を全く経ず、既にLEMからプレジール社に支払い済みであり、本来、プレジール社がコンサート企画会社へ支払うべきチケット代金をLEMからコンサート企画会社へ直接支払う代理弁済を行い、さらに2009年10月ころにはチケット販売前の企画のチケット代金をプレジール社に前払いという形で提供する等、資金を不正に流出させたものです。
現在判明しているLEMの被害予想総額は、最大で約150億円です。この内訳は、プレジール社に肩代わりして直接コンサート企画会社へ支払った金額(約 46億円)、プレジール社への前払金額(約46億円)、LEMのプレジール社からの未回収金額(約8億円)、以上の3点を合わせた金額約100億円と、今後LEMがプレジール社に肩代わりして直接コンサート企画会社へ支払わなければならない金額約50億円です。
さらに、LEMとプレジール社との契約期間は2007年11月から、また専務および取締役の両名が資金をプレジール社に不正に流出させていたのは2008年10月から2010年1月までの1年4ヶ月であることもわかりました。

3.関係先への対応 当社は、2月9日付の臨時取締役会でLEMに対し85億円の融資枠の設定の決議を行いました。コンサート等のチケット代金の支払いが滞っているコンサート企画会社へLEMが代理弁済を行うなど、コンサート企画会社にご迷惑をおかけしないようにいたします。今後、プレジール社から債権回収を行い、被害の最小化に努めてまいります。

また、LEMを通じてお客様にお買い上げいただいた今後開催予定のコンサート等のチケットは、そのままご利用いただけます。お客様には一切のご心配をお掛けしないよう努めてまいります。

4.両取締役等に対する対応および社内処分

  1. (1)専務および取締役の両名は、本日付で辞任しております。
    また、両名の不正行為につきましては、民事はもちろんのこと、刑事告訴を検討するべく、 当局に相談を始めます。
  2. (2)プレジール社に対しては、損害額の回収に努めたいと考えています。

5.緊急措置と今後の対応について 当社は、緊急措置として、LEMを含むグループ各社の経理内容を点検し、他に不正流用のないことを確認しています。また、子会社が資金の流れを定期的にローソンに報告することの義務化等、管理を強化いたしました。
また、第三者委員会を本日付で発足させ、LEMの徹底した資金管理を行う内部管理体制の構築に着手いたします。

第三者調査委員会(敬称略)
委員長 高野 利雄 (弁護士、高野法律事務所所長、元名古屋高等検察庁検事長)
政木 道夫 (弁護士、シティユーワ法律事務所パートナー)
高岡 俊文  (公認会計士、株式会社KPMG FAS 執行役員パートナー)
なお、本調査委員会の調査結果につきましては、まとまり次第、速やかに公表させていただく予定です。

また、当期決算に与える影響につきましては、債権回収の可能性が確定していないため、現段階で詳細に申し上げることはできませんが、プレジールを経由した取引はローソンエンターメディアの取り扱い全体の約1/5であり、それ以外についてはこのようなリスクはないと判断しており、被害額は最大150億円程度と予想しております。これは、大きな金額ですが、2009年11月末の連結現預金は700億円以上、実質無借金、自己資本2,000億円以上という財務体質から、当社の財務の安全性の根幹を揺るがすことではないと考えています。また、今回の事態はあくまで継続的に損失が発生するというものではなく、当社の業績に与える影響はあくまでも一時的なものと考えております。

引き続きローソンをご支援いただきたく、お願い申し上げます。

2010年2月9日
代表取締役社長 CEO
新浪 剛史

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