CFOメッセージ

スピード感をもって収益構造の改革を進める 取締役 上級執行役員 CFO 糸長 雅之

スピード感をもって
収益構造の改革を進める

取締役
上級執行役員 CFO

糸長 雅之

取締役 上級執行役員 CFO 糸長 雅之

取締役
上級執行役員 CFO

糸長 雅之

スピード感をもって
収益構造の改革を進める

まずはローソングループの収益力をコロナ前のレベルにまで高めること。これが新CFOとしての私の最初のミッションです。外部環境が厳しさを増す中においても中期経営ビジョンをもとに大変革実行委員会の各プロジェクトを支援し、スピード感をもってゴールを目指します。

新CFOとしての抱負

2022年5月、ローソングループのCFOに着任しました。

コロナ禍が続く中、コンビニエンスストア業界は依然として厳しい環境に置かれています。また、お客さまの生活様式も大きく変わりつつあり、今後はいわゆる「ニューノーマル」な生活が一般的になっていくと思われます。こうした状況下、CFOとしての私に課せられた課題は、まずは収益力をコロナ前のレベルにまで高めることにあると考えています。そのために、新しい環境に合わせる形で、収益構造の改革にスピード感をもって取り組みます。

収益構造の改革の中では、お客さまに来店していただくための施策が最重要課題となります。いかにお客さまとの接点を十分にもち、お客さまのニーズをくみ取るかが収益向上に繋がります。それこそが、お客さまにとって役に立つ、社会インフラとしてのコンビニエンスストアづくり、店舗づくりができるものと考えています。

足元の事業環境と
2021年度の成果

2021年度は長引くコロナ禍のもと、2020年度に引き続きお客さまの生活スタイルや購買行動の変化など、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた1年でした。こうした中、ローソングループは「マチのほっとステーション」として常にお客さまや社会に寄り添い、果敢にチャレンジし、2021年度の営業利益は470億円、親会社株主に帰属する当期純利益は179億円となりました。

国内コンビニエンスストア事業は、店舗改装や、新機軸のメニュー開発など商品刷新に取り組んだ結果、冷凍食品などが好調に推移しました。また、お弁当、カウンターファストフードも堅調に推移し、特に店内調理サービスの「まちかど厨房」のお弁当などが好評を博し、国内ローソン事業の既存店売上高前年比は 101.1% となりました。なお、店舗改装や商品刷新などの取り組みにより売上が伸長した一方で、将来に向けた店舗改装の実施に伴う経費などが増加したことにより、国内コンビニエンスストア事業のセグメント利益は283億円となりました。

エンタテインメント関連事業では、ローソンエンタテインメントにおいてコンサートやスポーツイベントの開催が増加し、チケットの取り扱いが回復傾向となりました。また、ユナイテッド・シネマでも、人流の増加に伴い動員客数及び売上が回復傾向となりました。この結果としてセグメント利益は22億円となりました。

成城石井事業では、巣ごもり需要の取り込みが奏功したことや、自社のセントラルキッチンで製造している自家製惣菜・デザートなどが好調に推移したことなどにより、セグメント利益は112億円となりました。

海外事業については主に中国での店舗数が増加したことから、セグメント利益は23億円となりました。

このように、ローソングループのセグメント別にはプラスとマイナスの両面がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は、179億円となりました。

2021年度(2022年2月期)連結業績

(単位:億円)

2020
年度
2021
年度
前年増減
営業総収入 6,660 6,983 +323
営業利益 408 470 +62
経常利益 376 475 +99
親会社株主に帰属する当期純利益 86 179 +92

セグメント利益

(単位:億円)

2020
年度
2021
年度
前年増減
国内コンビニエンスストア事業 287 283 -3
成城石井事業 103 112 +9
エンタテインメント関連事業 ‐2 22 +25
金融関連事業 17 29 +12
海外事業 8 23 +15
その他 ‐4 -1 +3
合計 408 470 +62

中期経営ビジョンと
大変革実行委員会への
取り組み

ローソングループでは2025年に迎える創立50周年に向けて、中期経営ビジョン「ローソングループChallenge 2025」を策定し、グループ理念である「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」の実現を目指しています。またコロナを機に変わりつつある生活様式の変化を捉えるべく、「大変革実行委員会」を設置して、さまざまなチャレンジを進めています。

収益構造大変革の各プロジェクトについては、足元では予定通りに進捗しています。2022年度においては、「顧客起点サプライチェーン改革プロジェクト」では新セミオート発注システムの導入に向けての追加実験を実施するほか、「ベンダー物流改革プロジェクト」ではAIによる店舗配送ダイヤグラム最適化に引き続き取り組みます。また「グループデータ一元利活用プロジェクト」では、取得したグループデータを当社グループのマーケティング施策に有効活用するほか、当該データを活用したマーケティング施策の対外販売についても実施します。これらのプロジェクトは中長期的な取り組みであり、2025年に向けて今後効果が表れてくる計画です。

一方、財務の健全性を維持しながら資本効率を上げて、同時に株主の皆さまに還元していくことも重視しており、チャレンジ指標として、ROE(自己資本当期純利益率)15%以上、EPS(1株当たり当期純利益)500円以上を設けていますが、2021年度のROEは6.6%、EPSは178円と、チャレンジ指標として掲げる目標とはまだまだ乖離がある認識です。今後は大変革実行委員会の各プロジェクトで推進している施策を着実に推進していくとともに、「企業価値の向上」「成長投資と株主還元のバランシング」「グループ会社個社の成長とローソングループ全体の成長」の方針を基本とした事業ポートフォリオ戦略を通じてChallenge 2025の目標達成を目指します。

なお、事業ポートフォリオ戦略の進め方に関しては、成長性・資本収益性を判断軸として、コア事業である国内コンビニエンスストア事業への集中投資を行います。また、グループ会社に関しては引き続き成長投資を行うとともに業界再編やM&Aも視野に入れながら最適な資本政策を検討します。

また、配当については、基本方針として将来の事業展開に必要な内部留保を確保しつつ、安定的に1株当たり年間150円を下限とした上で、連結配当性向50%を目指します。

サステナビリティへの
取り組み

ローソングループではESG基軸経営を掲げており、持続的な成長に資する投資の実行に際しては、環境・社会・企業統治の3つの観点から戦略的に判断しています。また、環境ビジョン「Lawson Blue Challenge 2050!」で定めた2030年及び2050年の目標達成に向けて、CO2排出量の削減、食品ロスの削減、容器包装のプラスチックやレジ袋削減などの環境課題に対応した取り組みをより進めます。特に食品ロスの削減については、食品ロスを減らすという社会的意義に加え、発注数の適正化や、売り切り施策によるムダな廃棄の抑制が、利益向上にも繋がるものと考えています。

なお人的資本の観点では人財への投資を重視しており、新たなチャレンジに対して1億円の予算枠を設ける「1億円チャレンジ(億チャレ)」など、社員がチャレンジできる施策を進めています。また、グループとしての一体感やローソングループで働く社員のモチベーションや共通意識を中長期的に向上させることにより、新しい商品やサービスを生み出す土壌を作っていくことを目指しています。

さらに、今後の企業価値向上に向けた取り組みとして、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にも力を入れています。具体的には、社長を含めた経営層が参加するデジタル戦略会議を設置し、デジタルを活用した構造改革、IT人財の育成に関する施策についての議論と実施に努めています。

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