社長メッセージ

「変化対応業」としての真価を発揮する 代表取締役 社長 竹増 貞信

「変化対応業」としての
真価を発揮する

代表取締役 社長
竹増 貞信

代表取締役 社長 竹増 貞信

代表取締役 社長
竹増 貞信

「変化対応業」としての
真価を発揮する

あらためて「変化対応業」
であることを自覚する

近年のローソングループは、これまで経験したことのない大激動の時代を迎えています。

2年以上続くコロナ禍により人々の生活様式や消費行動が変わり、それまで旺盛であったインバウンド需要も影を潜めることとなりました。海外においても、上海など中国の都市部でのロックダウンなど、状況は一変しました。また地政学的リスクの顕在化などによりサプライチェーンの混乱が見られ、原材料の高騰や為替の急激な円安なども収益環境に大きな打撃を与えています。

私たちは、ローソングループのビジネスを「変化対応業」であると考えています。創業以来、社会の変化に対応し、お客さまのニーズを見極め、新たな商品・サービスを常に創り出してきました。そして、今でも歩みを止めることなく、常に変化への対応に取り組んでいます。例えば主力の国内コンビニエンスストア事業では、コロナ禍での「巣ごもり需要」に応えるべく、より日常生活に寄り添った店舗づくりのため、店舗の改装を進めていくとともに、フードデリバリーサービスの拡大や「ゴーストレストラン」の展開など、スピード感をもってさまざまな工夫を凝らしています。

いかなる変化があっても、変化対応のフロントランナーとして適切なソリューションを提示して実行に移す。これこそが「変化対応業」としてのローソングループであり、激変する近年の事業環境の中で、最も大切なことだと認識しています。

ローソンの
企業文化と可能性

ローソングループの企業文化、強み、また先人から受け継がれているDNAだと感じるのは、ローソングループ約20万人の仲間がマチに役立つ「チャレンジを厭わない心」を常にもち続けている点です。

ローソングループのチャレンジは40年以上前、創業者である中内 功氏の時代に始まっています。1995年の阪神・淡路大震災の最中、十分な商品が届かない中でも、とにかく店を開けてくれと大号令をかけたことは、まさにチャレンジだったはずです。このときの経験が、その後の2011年の東日本大震災や、最近の熊本、北海道、西日本での災害時にも生かされてきたと思います。

何とかしてマチの役に立ちたいという強い思いは、もちろん、今のローソンの仲間にも息づいています。コロナ禍の2020年3月、全国の学校が臨時休校となった頃の話ですが、学童保育施設におにぎりを無償で届けたいという声が上がり、たちまち全国に広がりました。私たちは結果として全国延べ約7千か所の学童保育施設に約60万個のおにぎりを配送しました。

それぞれがもつこうした、みんなのために役に立つことをしよう、というチャレンジ精神は、変化への対応に向けた原動力となっています。小さな変化、大きな変化にチャレンジしていく姿勢が、それぞれの中に息づいていることを強く感じます。コロナ禍においても、こうした変化にチャレンジしようとする思いは、「ローソングループ大変革実行委員会」や中期経営ビジョンに関する現場の取り組みを見ても感じられます。

ローソングループ
大変革実行委員会の
狙いと進捗

近年の大きな事業環境の変化は業績にも影響を及ぼしましたが、このようなピンチこそ大きなチャンスに変えていこうという思いを込めて2020年9月に立ち上げたのが「ローソングループ大変革実行委員会」です。「商品」「売場」「収益力向上」「データ活用」「SDGs」などさまざまな分野での改革を進めています。

まずは2021年度の上半期までを一つの期限として、お客さまの生活スタイルの変化を考えたときに、ローソングループがどのような商品やサービスを提供していくべきなのかについて仮説を立て、それを実行検証していきました。そうした検証を経て、2021年度の下半期からは実際の現場での実装を開始しました。

例えば2021年度は、個々の店舗の事業環境に見合った店舗改装を4,305店舗に対し実施したほか、店舗改装と併せて導入を進めた店内調理サービス「まちかど厨房」は、2022年2月末時点で8,359店舗にまで拡大させました。

2022年度については、この1年半の取り組みと成果を踏まえ、PDCAを回してさらに執行度と精度を高めていく年にしたいと考えています。

なお、大変革実行委員会のプロジェクトとして、2022年度から新たに「無印良品導入プロジェクト」と「レコメンドNo.1獲得プロジェクト」の2つを新設しました。

「無印良品」を展開する良品計画とは既に2年前から連携をスタートさせており、ローソン店舗で「無印良品」を導入する実験販売を行ってきました。この次のステージとして、2022年5月からは関東甲信越地区の約5,000店舗に、さらにその後は全国への拡大を予定しています。食品に関するロイヤリティでは一定の評価を受けているローソンですが、日用雑貨に関してはまだまだ課題がありました。「無印良品」を導入することで、日用雑貨を購入する場としてローソンを選んでいただく可能性が広がります。また、将来的には食品と同様に、例えば「ローソンのくつ下や下着などの衣料品が欲しい」と言っていただけるようなPB商品の開発にもともに取り組みたいと考えています。

「レコメンドNo.1獲得プロジェクト」については、多くのお客さまにローソンの商品を指名買いしてもらうことを目指しています。既に4年前からチャレンジしているのですが、今年から大変革実行委員会のプロジェクトとして、さらに腰を据えて取り組んでいきます。

グループ理念

私たちは
“みんなと暮らすマチ”
幸せにします。

ビジョン

目指すは、マチの
“ほっと”
ステーション。

事業方針

「3つの約束」

圧倒的な
美味しさ

人への
優しさ

地球(マチ)
への優しさ

ローソンWAY

  1. マチ一番の笑顔あふれるお店をつくろう。
  2. アイデアを声に出して、行動しよう。
  3. チャレンジを、楽しもう。
  4. 仲間を想い、ひとつになろう。
  5. 誠実でいよう。

Challenge 2025の
チャレンジ指標
達成への思い

中期経営ビジョン「Challenge 2025」において、「ROE 15%以上、EPS 500円以上」をチャレンジ指標として掲げています。足元の厳しい事業環境を踏まえると、容易に達成できる指標とは捉えていません。しかし、この指標達成に向け、まずは核となる国内コンビニエンスストア事業の業績を速やかにコロナ前の水準に戻し、さらにそこから成長軌道に乗せることで、資本効率が高まり、利益を確保することができると考えています。

2021年度の事業環境は、コロナ禍での断続的な緊急事態宣言の発令及びまん延防止等重点措置の適用によって、社会活動の制限と緩和が繰り返され、2020年度以上に社会活動の制限・自粛が行われる事業環境となりました。国内コンビニエンスストア事業においては、ウィズコロナにおけるお客さまの生活スタイルの変化に対応した取り組みで売上の増加に努めたほか、店舗オペレーションの効率化やコスト削減などに取り組んだ結果、加盟店利益は2020年度を上回りました。

2022年度に入ってからは感染者の数も一旦減少し、ウィズコロナによる生活者の消費行動の動きも見られ、市場環境は回復基調にあると認識しています。海外からの観光客受け入れも、政府の緩和に向けた動きが見られることもあり、コロナ前には大きな消費トレンドだったインバウンド需要の復活にも期待しています。

2022年度は、戦略コンセプトとして「地域密着×個客・個店主義」を掲げています。

これまでのコンビニエンスストアは、店舗の平準化により全国展開とコスト競争力を高めることを可能にし、それがお客さまの支持を得たことで成長してきました。しかし、店舗数がこれだけ増えた今、さらなる成長のためには、お客さまの日常生活の一部となり、日常需要を取り込んでいくということが肝要となります。コロナ禍の影響で状況が一変し、コンビニエンスストアで日常使いの商品をお買い求めいただけるようになった今、この需要をさらに取り込み、日常生活に寄り添うためには、地域の特色を理解し、地域に密着していくことが重要だと考えています。今後は、お店単位で商品、サービスを決めていくことも視野に入れ、それぞれの店舗を地域に密着させていきます。お客さま一人ひとりにとって、最適なお店づくりをしていくことが、この「地域密着×個客・個店主義」ということです。

周辺事業の拡大にも注力していきます。成城石井事業については、巣ごもり需要をうまく取り込んだことで、この2年間の業績は好調に推移しています。一般の食品スーパーとは異なる高品質スーパーとしての「成城石井ブランド」が確立できている点は大きな強みであり、今後は、成城石井のブランドをECや海外へ展開していくことも視野に入れています。

エンタテインメント関連事業は、この2年間は非常に厳しい事業環境に置かれましたが、スマートフォンを活用したチケットサービスなど付加価値の高いサービスの提供により、筋肉質なコスト体質を作り上げることができたと思います。最近ではライブやスポーツ観戦などで入場制限や声援の規制も緩和されはじめており、業績の回復、成長が期待できます。

金融関連事業は2022年で5年目を迎えます。今後はリテールバンクとしてのローソン銀行の価値をお客さまにどのように提供していくのかを考えるなど、今は新しいチャレンジのステージに立っている時期です。

海外事業もこれからが楽しみです。特に中国での出店に関しては、2025年において1万店舗という目標を掲げていますが、達成に向けた道筋は見えています。中国の出店では、これまではローソンの100%子会社として出店しているケースがほとんどですが、中国のお客さまから「私たちのローソン」と思っていただき、より成長を加速させるためには、「地域密着×個客・個店主義」の観点が必要です。そのため、今後はM&Aを含め、現地のパートナーと連携しながら店舗を拡大させていく選択肢ももつべきだと考えています。

こうした取り組みにより、各事業については、それぞれの市場におけるプレゼンスを確実に高め、「金融」と「データ」の利活用を効果的に行っていくことができれば、2025年における「ROE 15%以上、EPS 500円以上」は達成可能になると考えています。

ローソングループ
Challenge 2025

チャレンジ指標に加え、持続的な成長のために
環境・社会・企業統治の3つの観点で投資対象を戦略的に選択

2025年チャレンジ指標

ROE
15%以上

EPS
500以上

サステナビリティへの
取り組み

ESG基軸経営

ESG基軸経営

世界はさまざまな問題を抱えています。例えば身近な問題として「食品ロス」があります。飢餓に苦しむ子どもたちがいる一方で、世界中で大量の食品が廃棄されています。気候変動の問題も深刻です。こうした問題に対しては、自分たちが率先してアクションを起こし変わらなければ、企業としての価値は失われ、ビジネスの継続も難しくなります。2022年5月には国連グローバル・コンパクトに署名し、環境や社会における中長期課題の解決に積極的にチャレンジしていくことを表明しています。直面する社会課題に対してローソングループとしての解決策を示し、実行に移す。それがローソングループの事業にも活かされるといったサイクルをつくることが大切です。私たちは、こうした活動をけん引していく存在になりたいと思っています。

このような会社であり続けるためには強固なガバナンスが必要です。ローソンの取締役5名のうち2名は独立社外取締役であり、社外取締役、社外監査役のすべてが女性です。ビジネスの特質を踏まえても、ダイバーシティの推進は極めて重要だと考えています。また、大株主である三菱商事との取引において最も重要なことは、常に “For the Lawson” で考えることだと思っています。この考え方はガバナンスの観点でも大前提として捉えています。

あらゆるステークホルダーの方々から
レコメンドされるグループを目指す

大激動の時代はこれからも続いていくと考えています。その意味では、私たちは非常に大事な時代を過ごしていることを強く感じます。

ローソングループは、これからもマチにとって、社会にとって、あり続けなければいけない店舗、企業でありたいと思っており、社会のために役立つチャレンジを、いかなる妥協もなく本気で進めていきます。

ローソングループの成長の先には豊かな社会があり、2030年及び2050年の目標の達成に向けて掲げている環境ビジョン「Lawson Blue Challenge 2050!」の実現があります。私たちは「変化対応業」をビジネスとするグループとして、お客さま、株主・投資家の皆さま、社会、そして地球と、あらゆるステークホルダーの方々からレコメンドされるグループを目指します。

代表取締役 社長 竹増 貞信

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