CFOメッセージ

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成長のための投資が続くなか、
適切な財務規律を守ることで、
安定した事業経営基盤を築きます。

取締役 上級執行役員 CFO
中庭 聡

2017年度の振り返り

2017年度を振り返りますと、連結営業利益、連結当期純利益ともに前年を下回るなど、厳しい結果となりました。これは、コア事業である国内コンビニエンスストア事業において、グループ合計で1,250店を出店し、既存店売上高前比は99.9%とほぼ前年並みを維持することができた一方で、加盟店支援コストの増加や金融事業参入準備など新規事業への負担も大きく、連結営業利益は前年を79億円下回る658億円となりました。また、システム関連での60億円の減損など特別損失発生もあり、連結当期純利益についても、前年を95億円下回る268億円にとどまりました。このように厳しい業績となりましたが、弁当やおにぎりなど定番商品の売上回復、日配食品や冷凍食品などスーパーマーケット代替商品の拡大、タブレット型端末など次世代システムの導入、銀行準備会社を通じての金融事業参入への準備など、1000日全員実行プロジェクトを通じた取 組の成果もみられた1年となりました。

ITシステム減損の影響

今回、当期純利益の減益のひとつの要因となったのが、システム関連の減損です。次世代システム投資については、2015年度から構想を開始した1000日全員実行プロジェクトの一環として、2016年度以降の3年から4年をかけて数百億円に達する全社をあげた計画として進めてきました。その成果として、すでにタブレット端末や自動釣銭機付新型POSレジなどのハード機器投入により、店舗業務の効率化も進み始めています。一方で、次世代システムの完全クラウド化という、前例のないチャレンジを試みてきましたが、国内約14,000店舗のシステムやネットワークを24時間365日、常に安定稼働させるためには、当初想定した以上のさまざまな技術的課題が判明し、一部開発済み次世代システムの減損処理を余儀なくされる結果となりました。しかしながら、業界の垣根を越えた競争が激化し、人手不足を背景に店舗生産性向上の必要性が年々増加するなか、持続的成長を成し遂げるためには、最先端の技術を導入したITシステムの開発は不可避です。今後は、今回の経験も活かし、段階的なクラウド化や、システム部門の人員増強などを進め、充分なリスクコントロールを行いつつ、IT システムの開発に取り組んでまいります。

財務規律と株主還元

2018年度についても、持続的成長を実現するための投資負担の影響が大きく、連結営業利益は600億円と前年を下回る減益計画となっております。こうしたなかにあっても、国内コンビニエンスストア事業を中心に連結営業キャッシュフローは1,280億円を見込んでおり、出店増による新店投資や次世代システムな どの開発投資を含めた、連結投資キャッシュフロー950億円を上回る計画となっております。一方、手元流動性を確保するために、2018年2月末時点で350億円の短期借入金を計上しており、今後も設備投資などの状況に応じて、借入金の増額についても視野に入れております。ただし、過度に借入金に依存することなく、中期経営ビジョンでD/Eレシオ1倍以内と示している通り、適切な財務規律を維持します。価値創造を通じた適切な利益成長と株主還元のバランスを維持することで、中期経営ビジョンで掲げるROE15%以上の達成も目指していきます。
 最後に、2018年度の年間配当金は、前年と同額の255円とする予定です。2018年度は減益計画とする一方で、中期的には必ず利益成長を実現させ、中期経営ビジョンで掲げる営業利益1,000億円以上を達成する、という覚悟であり、中長期的な企業価値向上を図りつつ、安定配当を継続していきたいと考えております。

【1株当たり年間配当金と配当性向の推移】