社長メッセージ

ローソン型次世代コンビニエンスストアモデルを
構築します

持続的成長を目指して
チャレンジし続けます

日本の小売市場において、小商圏型のコンビニエンスストアは、インターネット販売と並んで数少ない成長モデルであることに変わりはありません。少子高齢化が進むなか、車で遠くのスーパーに行くよりも、ご近所のお店まで歩いてお買い物を済ませたいと考えるシニアのお客さまが多くいらっしゃいますし、共働き世帯が半数を超え、家事に子育てに仕事に忙しい方々が仕事帰りに夕食の準備や朝食の食材を買われるケースも増えてきています。こうした追い風を受け、2017年のコンビニエンスストア市場は前年を2.4%上回る約12兆円にまで拡大、当社においても、2017年度の国内チェーン全店売上高は約2兆2千億円と10年前の1.5倍に達するまでになりました。
 一方、人口減少が続く日本において、外食を含む食品流通関連市場が大きく拡大することは期待しにくく、コンビニエンスストア同士の競合だけにとどまらず、ドラッグストアや食品スーパーによる新しいカテゴリー参入やインターネットを活用した新しいサービスなど、業界の垣根を越えた競争は年々厳しさを増しています。ローソンは、店頭でのチケット販売、インターネット販売の商品受取り、ブランパンなどの健康志向に対応した独自商品開発など、これまでも、その時々の社会の変化に対応し、新しいサービスを展開してまいりました。ナチュラルローソンやローソンストア100などマルチフォーマットを構築したほか、HMVやユナイテッド・シネマ、成城石井などもローソングループとなり、マチのお客さまのさまざまなニーズにお応えしてきました。こうしたイノベーションに挑戦し続ける、チャレンジしていく文化、風土がローソンにはあります。

 また、生産年齢人口の減少を背景に、人手不足やそれに伴う人件費高騰も大きな課題となってきています。店舗生産性の改善は待ったなしの状況であり、お客さまニーズにあった商品・サービスを持続的に提供し続けるためにも、最先端のIT・デジタル技術を最大限活用し、既存の発想にとらわれない新しいオペレーションモデルを構築する必要が生じています。機械にできることは、どんどん機械化、自動化していき、そして、人のすべきことは人の手でローソンを運営することによって、ローソンの強みである心のこもった温かいサービスを提供する。その考えのもと、ローソンならではの、次世代コンビニエンスストアモデルの構築を進め、フランチャイズ加盟店オーナーや店舗クルーの皆さんとともに、持続的な成長を実現していきます。

1000日全員実行プロジェクトの最終年度、
基盤強化の総仕上げを行います

 2016年度から始めた1000日全員実行プロジェクトが、今年度いよいよ最終年度を迎えます。商品力強化、売場力強化、新店力強化、加盟店支援強化を掲げてさまざまなことに取り組んできた最終仕上げの時期となります。これまでを振り返ってみますと、まず、プロジェクト開始に先駆けた2015年度、新しい事業モデルの基盤となるセミオート発注システムが導入され、加盟店とのフランチャイズ契約パッケージも見直しが実施されました。その後、プロジェクト初年度から次々と次世代コンビニエンスストアのモデル構築のための取組が進んでいきました。初年度の2016年度には、日配食品や冷凍食品などの品揃えを強化するために、冷凍・冷蔵ケースの増設などほぼ全店で改装を実施し、品揃えについてそれまでを15%上回る3,500SKUにまで拡大させました。続く2017年度には、タブレット型端末を全店に導入したほか、他のコンビニエンスストアチェーンからの看板替え、金融事業参入に向けた準備も大きく進展しました。さらには、RFID活用に向けた実証実験を進めたほか、オープンイノベーションセンターも開設させるなど、最先端のデジタル技術の取り込みに向けた動きも加速し始めました。
 そして、2018年度には、自動釣銭機がセットされた新型POSレジが全店展開されていきます。また、セーブオンからの看板替えも年度内には完了し、ローソンの国内店舗数も15,000店舗に近づいてきます。さらに、昨年から準備を始めた金融事業への参入準備が進んでいるほか、スマートフォンを使った無人決済サービスの実験もスタート。商品の販売やカウンターでのサービス提供だけでなく、お客さまが便利に決済いただけるような仕組みについてもチャレンジ中です。ローソンでは、2018年度をデジタル元年と位置づけ、最新のテクノロジーを最大活用していきます。

【1000日全員実行プロジェクト】

将来に向けた基盤強化を完了させ、
2019年度以降は増益トレンド回復へ

 このように1000日全員実行プロジェクトは、さまざまなITシステム投資を伴うものであり、また、金融事業参入やスマホ決済、最先端のデジタル技術の活用、ローソンフレッシュピックの開始など、さまざまなチャレンジが続いていきます。こうした取組みは費用が先行するため、2018年度についても前年に続き営業減益の計画となるなど、短期的には非常に厳しい局面となりますが、将来に向けた持続的成長のためには、避けては通れないものです。中期経営ビジョンの達成に向け、2019年度以降、成果に必ず結びつけ、増益トレンドに回復させていく考えです。

【連結営業利益の成長イメージ】

夕夜間元年として、お客さまニーズに
お応えできる売場を実現します

新しい女性やシニアのお客さまに最も期待されているのは、これまでコンビニエンスストアが比較的弱かった夕方から夜の時間帯です。ローソンもこれまでは、朝の通勤・通学時間帯や、お昼のランチタイム需要を商売の中心として売場づくりをしてきました。これを、夕方から夜を中心としたものにシフトしていく必要があります。ただ、掛け声だけ、やる気だけで実際の売場を変えていくことはできません。店舗では、少ない人数で、接客やレジ対応だけでなく、在庫の発注や商品の受取り、商品棚の整理など数多くの業務をこなす必要があります。これまでは、朝と昼にピークがあることを前提にこうしたすべての業務が標準化されてきました。これは、店舗だけにとどまらず、弁当やおにぎりなどの製造工場やそうした商品を店舗に運ぶための配送センターなど、サプライチェーン全体がリンクした形で効率化されてきたものです。こうした前提を今回は大きく変えるチャレンジを行います。発注の締め切り時間や、トラックで納品される時間を変更し、16時に最適な売場を構築し、夕方から夜にかけてのお客さまニーズに充分にお応えする。そのために、フランチャイズ本部だけでなく、工場や配送センターなどお取引先も含めて、ローソングループ全体で仕組みを再構築するプロジェクトです。半年以上かけて入念に準備を整え、2018年6月から新しい仕組みに移行しました。こうした成果が今後、徐々に表れてくると信じています。

多様な人財が活き活きと働ける
会社であり続けるために

ダイバーシティとは、単に女性や外国籍といった社員の比率を上げることが目的ではなく、組織のなかで多様な価値観がぶつかり合い、そこに新しい発見や価値が生まれることだと考えます。ローソンは、ダイバーシティ推進体制を整え、性別や国籍、出身やバックグラウンドなどに関係なく、企業理念のもと、全員参加による全員経営を目指してきました。例えば、女性が活躍し続けられる会社にするために、育児休職などの制度に加えて、選抜型のリーダーシップ研修を実施しているほか、男性社員の育児休職取得を奨励するなど、働き方の多様性への対応も進めています。また、心と体の健康も非常に重要な課題です。「マチの健康ステーション」を掲げる当社では、お客さまの健康生活全般をサポートするだけでなく、従業員の健康診断の義務づけや、FC加盟店オー ナーの健康増進プログラムの実施などについても継続的に推進してきました。これからも、ローソングループで働くすべての人々が、明るく元気な毎日を過ごせるように、業務効率化やワーク・ライフ・バランスの取組などを続けていきます。私自身が、さまざまな機会を通じて社内へこうしたメッセージを発信し、ローソングループ全体で、ダイバーシティの推進、労働環境の改善、生産性の高い働き方へのチャレンジなどに取り組んでいきます。

持続可能な社会の実現に向け、
チャレンジを続けていきます

コンビニエンスストアは、24時間いつでも灯りがともり、さまざまなサービスで日常の生活を支えつつ、万一の災害のときにはマチのライフラインとなるなど、なくてはならない存在となっています。“みんなと暮らすマチ”の幸せを目指すローソンとしては、よりお客さまのご要望にお応えした店舗をつくるとともに、持続可能な社会を目指して取り組みを進めていかなければなりません。それが、2015年9月に採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成にもつながっていくと考え、さまざまなチャレンジを進めています。
 とくに、環境面においては、店舗の電気使用から排出されるCO2の削減が大きな課題と考え、1店舗当たりの電気使用量を2020年度までに20%削減(2010年度比)を目標として掲げています。具体的な対策としては「省エネ10か条」を定めて各店舗で運用するほか、CO2冷媒を活用した冷凍・冷蔵システムの導入などの店舗設備の省エネルギー化を促進しています。さらに、ローソングループ全体、一人ひとりの高い意識と知識、情報が必要との考えから、本部従業員だけではなく、FC加盟店オーナー、店長、クルーまで対象とした社会・環境 教育にも取り組んでいます。

【インフラとして地域に貢献】

上場企業としての独立性を維持しつつ、
三菱商事を巻き込んで
総力戦で競争を
勝ちぬきます

三菱商事が当社の株式の過半数を保有する親会社となって1年が経過しましたが、ローソンが目指す大きな方向性は全く変わることはありません。もちろん、東京証券取引所一部に上場する企業として透明性や独立性を維持することは、FC加盟店オーナーをはじめとする多くのステークホルダーに支えられ、かつ、社会のインフラとしても期待される現在、非常に重要な意味を持ちます。例えば、取締役8名のうち3名が独立取締役であることや、6名の委員のうち5名が独立役員となっている指名・報酬諮問委員会の存在など、コーポレート・ガバナンスが適切に機能する配慮は決してなくすことはありません。また、三菱商事との連携は2000年の業務提携締結から長年にわたり継続されてきたものです。今後も、グローバル規模で食品原材料の調達ルートを有し、国内に食品流通のネットワークをもつ三菱商事グループのリソースを最大限に活用し、ローソン型次世代コンビニエンスストアの構築に取り組み、総力戦で厳しい業界環境を勝ち抜いていく決意です。