東京大学生産技術研究所・株式会社ローソン産学共同研究コンビニエンスストアにおけるCO2削減に向けて
2008年9月29日
1.概要
東京大学生産技術研究所 野城(やしろ)研究室と株式会社ローソンは、低炭素化社会に向け、産学共同研究を開始。エネルギー・モニタリング・システムを発展させた自動解析・自動制御システムも活用しつつ、各店舗でのCO2排出量の約10~40%削減を目指し研究活動を展開中。
2.共同研究内容
a. | ローソン店舗のCO2排出量削減に向けて、自動解析・自動制御システムを導入する。店舗の設備改善、運用改善だけではなく、建物外部からの影響も視野に入れた総合的な対策を施す。 |
b. | 野城研究室は施策の立案、効果検証を担当し、株式会社ウッドノート(*1)は、実験店への計測機器の設置やデータ管理、実証試験の結果を基に効果の立証された具体的な施策の店舗への導入を担当する。 |
c. | ローソンは、社内の関連部門と連携して実証試験を実施し、効果検証を踏まえ、水平展開を計画・実施する。 |
e. | ローソンの3店舗(南加瀬四丁目、立川一番町四丁目、東京大学安田講堂店(*2))で実証試験を開始。すでにエネルギー利用実態を把握し、省エネルギー対策の効果を検証している。 |
d. | 各店舗の立地環境、顧客状況を踏まえた、個店毎に最適化された省エネメニューを組み合わせ、既存店舗、新築店舗のCO2排出量の10~40%削減(*3)を見込む。 |
(*1) | 株式会社ウッドノート:東京大学と共同研究を契機に設立された企業。CO2削減請負の企業活動を展開 |
(*2) | 安田講堂店での実証試験は、東大サステイナブルキャンパスプロジェクト(TSCP)への貢献も期待 |
(*3) | 省エネ対策の未実施既存店舗との比較 |
3.共同研究が克服しようとしている社会的課題
どんな対策をとれば、何が、どれだけ制御できるのか定量的にわからない→がまんと不便を強いる精神主義が横行→CO2削減活動が一過性に終わり、費用対効果の低くしているおそれがある→継続したCO2削減活動を展開するためには、条件群の個別性(物理的条件・使われ方)を加味した解析・制御システムを構築展開する必要がある→しかし、解析・制御システムが未成熟である→ならば、解析・制御システムを開発し社会実装していこう(共同研究が行っていること)、というのが本研究の社会的意義。
■自動解析・自動制御システム導入の意義
どのような対策を施せば、どのような管理目標が、どのくらい達成できるかコントロールしていくことができるようになる(=店舗の利用実態に応じた最適なエネルギー使用のために状況を個別に把握及び監視し、制御できるようになる)。
野城研究室での技術開発の歩み
第一期 |
: |
エネルギー使用量の見える化技術の開発 |
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東京大学生産技術研究所B棟~F棟 2002年 愛知万博日本館 2005年 など |
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共同研究パートナーがベンチャー企業(株式会社ウッドノート)を設立 | ||||
第二期 | : | エネルギー使用量の解析・制御技術の展開 | ||
ハウステンボス 横浜市泉区役所 など |
≪ご参考≫ローソンの地球温暖化防止・CO2排出量削減の取り組み
1.CO2削減自主目標 『2012年度までに10%削減(2006年度比)』
ローソンは、「1店舗あたりの電気使用によるCO2排出量を2012年度までに2006年度比で10%削減」という自主行動目標を設定しています。この目標は、2006年度ベースの総量で、年間約6万トンのCO2削減に相当します。 ローソンが排出するCO2のうち、その8割以上は店舗で使用する電気によるものです。これまで、店舗でのCO2削減策として、新店への「省エネパック(要冷空調一体型システム)」、既存店への「エコパック(省エネ制御システム)」、自動調光照明システム、看板の照明への反射板の導入などを行っています。
2.産学共同研究の背景
〔1〕 | 自主行動目標の達成のための施策のひとつ(1店舗あたりの電気使用によるCO2排出量を2012年度までに2006年度比で10%削減) |
〔2〕 | 建築分野でCO2削減を研究されている野城研究室の頭脳と実際の店舗を運営しているローソンのノウハウを組み合わせることにより効果的な削減策を策定 |
〔3〕 | 最新のCO2削減策をコンビニエンス店舗だけでなく、さまざまな小売店舗に活用することで、全国のCO2削減に貢献したい |
【ローソンのCO2削減の取り組み】はコチラをご覧下さい。