ニュースリリース

ローソンエンターメディア取締役による不正行為の発覚について

2010年2月 9日

 この度、社内調査により、株式会社ローソン(以下「ローソン」)の連結子会社である株式会社ローソンエンターメディア(以下「LEM」)の代表取締役専務(以下「専務」)および経理担当取締役(以下「取締役」)が権限を逸脱し、社内手続を一切経ずに独断で多額の資金を不正に流用していたことが判明いたしました。 本件が判明した経緯、現時点における調査結果によって判明している事実の概要および今後の対応方針等につきまして、下記の通りお知らせいたします。 株主様、お客様、お取引先様をはじめ関係各位に多大なるご迷惑、ご心配をおかけすることとなり、深くお詫び申し上げます。

 

1. 不正行為が判明した経緯
    2010年1月24日、専務および取締役の両名より、「LEMとの契約によってコンサート等の企画会社(以下「コンサート企画会社」)へチケット代金を支払っている株式会社プレジール(以下「プレジール社」)が、資金を流用していたため資金難に陥り、コンサート企画会社への支払いが不可能となっている」、また「取締役会の決議を経ずにLEMがプレジール社に肩代わりしてコンサート企画会社数社に対してチケット代金を支払った、また、プレジール社に対しても直接支援を行った」との報告がローソンとLEMにありました。
報告を受けたローソンは、急遽顧問弁護士同席の上、専務および取締役の両名から事情聴取を行った結果、多額の資金が流出していることを確認しました。そこで、同社代表取締役社長CEO 新浪剛史を委員長とし、顧問弁護士事務所(アンダーソン・毛利・友常法律事務所)および会計事務所(株式会社KPMG FAS)の協力のもと、合計21名から成る社内調査委員会を発足させ、詳細を調査したところ、以下の事実が判明いたしました。

 

2. 不正行為の概要
   

LEMは、通常コンサート等のチケットを販売する際には、コンサート企画会社からチケットの販売業務を直接受託していました。しかし、一部のチケット販売受託に関し、2007年11月より、LEMがお客様からお預かりしたコンサート等のチケット代金を、当時写真付き切手等を販売していたプレジール社を通してコンサート企画会社へ支払うという内容の三者間契約をプレジール社、コンサート企画会社、LEMで締結し始めました。(添付資料1)

この三者間契約の仕組みは、LEMの実質NO2である専務が持ち込んだものです。チケット販売業界では、コンサート等のチケット販売を受託するために、チケット販売事業者がコンサート企画会社に協賛金を支払う場合があります。この仕組みでは、プレジール社がLEMに代わりコンサート企画会社に協賛金の一部または全部を支払うことにより、従来に比べてLEMの協賛金支払額の減額等が見込めました。
しかし、LEMからのコンサート等のチケット代金受領日からコンサート企画会社への支払日までは期間が長く、長期(2ヶ月~6ヶ月)にわたり資金がプレジール社に滞留していました。これを利用し、プレジール社は資金を流用していました。
2008年10月頃より、プレジール社からコンサート企画会社への支払いが遅延するようになり、コンサート企画会社から専務へクレームが多数寄せられるようになりました。そこで専務は取締役に相談し、両名は、プレジール社が流用していることを認識しながら、社内の正式な決裁を経ず、LEMがプレジール社に肩代わりして直接コンサート企画会社へ支払いました。さらに2009年10月頃にはチケット販売前のコンサート企画のチケット代金をプレジール社に前払いする等、資金を不正に流出させていました。
LEMとプレジール社を含む三者間の契約は、2007年11月から行われており、また専務および取締役の両名が資金をプレジール社に不正に流出させていたのは2008年10月から2010年1月までの1年4ヶ月間であることがわかりました。(添付資料2)

現在判明しているLEMの被害予想総額は、最大約150億円です。この内訳は、プレジール社に肩代わりして直接コンサート企画会社へ支払った金額(約46億円)、プレジール社への前払金額(約46億円)、LEMのプレジール社からの未回収金額(約8億円)、以上の3点を合わせた金額約100億円と、今後LEMがプレジール社に肩代わりして直接コンサート企画会社へ支払わなければならない金額約50億円です。
今後、債権の回収に最大限努めてまいります。

 

3. 関係先への対応
    ローソンは、本日付の臨時取締役会にて、LEMに対し85億円の融資枠の設定を決議しました。支払い困難となったプレジール社に代わりLEMがコンサート企画会社へコンサート等のチケット代金の支払いを肩代わりするなど、コンサート企画会社にご迷惑をおかけしないよう、最大限の努力を続けてまいります。今後、プレジール社から債権回収を行い、被害の最小化に努めてまいります。

また、LEMを通じてお客様にお買い上げいただいた今後開催予定のコンサート等のチケットは、そのままご利用いただけます。お客様には一切のご心配をお掛けしないよう努めてまいります。

 

4. 業績への影響
    LEMおよびローソンの両社につき、過年度業績および当期業績に与える影響につきましては 現在精査中であり、明らかになり次第速やかにお知らせいたします。

 

5. 両取締役等への対応および社内処分
    1) 専務および取締役の両名は、本日付で辞任しております。
また、両名の不正行為につきましては、民事はもちろんのこと刑事告訴を検討すべく当局に相談をはじめます。
    2) プレジール社に対しては、損害額の回収に努めたいと考えています。
    3) 社内関係者の処分
       

経営上の責任として、下記の社内処分を実施いたします。

LEM 代表取締役社長 日比靖浩 辞任 (2010年2月10日付)
ローソン 顧問 野林定行 辞任※ (2010年2月9日付)
ローソン 代表取締役社長CEO 新浪剛史 月額報酬の30%自主返納3ヶ月
ローソン 取締役専務執行役員CFO 矢作祥之 月額報酬の20%自主返納3ヶ月

※LEMの前身である株式会社ローソンチケットの前代表取締役社長
(2006年5月~2009年5月在任)

    4) 新代表取締役の就任
        LEMの代表取締役社長には、明日付でLEM取締役 野林徳行 が就任いたします。

 

6. 緊急措置と今後の対応について
    ローソンは、緊急措置として、LEMを含むグループ各社の経理内容を点検し、他に不正流用のないことを確認しています。また、子会社が資金の流れを定期的にローソンに報告することの義務化等、管理を強化いたしました。
また、第三者委員会を本日付で発足させ、LEMの徹底した資金管理を行う内部管理体制の構築に着手いたします。
      第三者による調査委員会
        委員長 高野 利雄 (弁護士、高野法律事務所所長、元名古屋高等検察庁検事長)
          政木 道夫 (弁護士、シティユーワ法律事務所パートナー)
          高岡 俊文 (公認会計士、株式会社KPMG FAS 執行役員パートナー)
             
      なお、本委員会の報告内容がまとまり次第、速やかに公表させていただく予定です。
本件に関する時系列の経緯およびLEMの会社概要はそれぞれ添付資料2および同3のとおりです。

 

以上

 

 

■添付資料1
lem

 

■添付資料2: 経緯
2007年11月10日 LEM(当時:株式会社ローソンチケット)とプレジール社とコンサート企画会社の三者間の取引開始
2008年10月31日~
2008年11月4日
・プレジール社の資金不足によりコンサート企画会社への約23億円の支払い遅延が発生
・専務が取締役へプレジール社に肩代わりして直接コンサート企画会社へ支払うことを要請
・取締役が取締役会決議等を一切経ずにコンサート企画会社1社へ2回(10/31、11/4)に分けて約23億円支払う
2008年11月18日 10月と11月にプレジール社に肩代わりして支払った金額(計約23億円)に対し、取締役が流用を認識しつつも、プレジール社との間で同年12月末までに債務を弁済するという内容の「債務弁済契約公正証書」を作成。しかし、公正証書に基づく弁済はなく、以後公正証書は作成されていない。
2009年7月20日 (株式会社ローソンチケットが株式会社ローソンエンターメディアに社名変更)
2009年8月ころ プレジール社からコンサート企画会社への支払いが遅延し、コンサート企画会社から専務へクレームが多数寄せられる
2009年10月1日~
2009年12月15日
取締役がプレジール社の資金繰り救済のため、取締役会決議を経ずに販売前のチケット代金の前払金名目でプレジール社に対し8回に分けて合計約46億円を送金
2009年12月~
2010年1月
専務および取締役の両名が、取締役会決議を経ずにプレジール社に肩代わりし直接コンサート企画会社3社へ合計約11億円を支払う
2010年1月4日 専務および取締役の両名が、内密にプレジール社に行き資金繰り状態を調査
2010年1月24日 専務および取締役の両名がローソンに報告
2010年1月24日 社内調査委員会発足
2010年1月25日~
2010年2月8日
社内調査委員会は関係者22名のヒアリングおよび関係書類等の調査を実施
2010年2月1日 LEMが社内の正式な手続きを経て、プレジール社に肩代わりして直接コンサート企画会社へ約12億円を支払う
2010年2月以降 ・今後、プレジール社に肩代わりし直接コンサート企画会社に支払いする金額 約50億円
・プレジール社からの未回収金(中止公演払戻金、立替販促費) 約8億円

被害予想総額 最大約150億円

 

■添付資料3: 株式会社ローソンエンターメディア概要

商号 株式会社ローソンエンターメディア
(2009年7月20日に株式会社ローソンチケットから現商号へ変更)
設立 1992年7月23日
資本金 2,892,575千円
本社 東京都品川区大崎1丁目11番2号
事業所 札幌・仙台・名古屋・大阪・広島・福岡
従業員数 272名  (2009年8月末日現在)
上場市場 ジャスダック証券取引所 (証券コード2416)
      営業収入構成
事業内容 チケット販売事業(各種エンタテインメントチケットの販売等) 74%
   

その他事業

(物販、Eコマース事業、商品企画、製造・販売、告知媒体の販売等マーケティング活動、企画運営)

26%
株式情報

(2009年8月末日現在)

 

 
   

発行可能株式総数

136,000株  
   

発行済株式の総数

55,892株  
   

株主数

1,750名  
大株主

株式会社ローソン

保有株式数42,214株  議決権比率75.5%
年間取扱チケット枚数 約1,800万枚
会員数 約250万名
プレジール社との取引額 2007年度:約32億円
    2008年度:約140億円
    2009年度:約160億円

業績の推移

(単位:百万円)
2005年度
2006年度
2007年度
2008年度
実績 実績 実績 実績
チケット取扱高
53,027
54,600
60,212
72,993
営業収入
6,258
6,533
6,960
7,620
(チケット販売収入) (4,486) (4,606) (5,013) (5,741)
(その他収入) (1,772) (1,926) (1,946) (1,878)
営業利益
821
836
635
791
経常利益
843
870
697
840
当期純利益
487
506
422
550