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加盟店支援ならびにFC加盟店とのさらなる関係強化のための投資を行い、 将来の利益回復による早期増配の実現を目指します

取締役 常務執行役員 CFO中庭 聡

2018年度(2019年2月期)実績と2019年度(2020年2月期)計画

2018年度の振り返り

 2018年度は、3年間の1000日全員実行プロジェクトを締めくくる1年となりました。最終年度は、夕夜間強化のためのサプライチェーンの大幅な見直しに取り組み、また「人手不足対策」のひとつである自動釣銭機付POSレジ(新POSレジ)につきましては、国内全店舗 に導入することができました。
 2018年度を振り返りますと、夕夜間強化施策の成果として、サプライチェーンの変更によりおにぎりやお弁当などの夕夜間強化商品の品揃えを拡充し、主婦・シニア層といった新しい需要を取り込むことができ、売上を伸ばすことができました。一方、他チェーンや外食、ドラッグストアなどとの競争が厳しく、従来のコンビニエンスストアのコア層のお客さまにつきましては十分に売上を伸長させることができず、結果として、国内コンビニエンスストア事業の既存店売上高前年比は99.5%にとどまりました。
 国内コンビニエンスストア事業においては、1,067店出店し、400店閉店した結果、667店舗の増加となり、2019年2月末時点の店舗数は14,659店となりました。また、中国における店舗数の拡大もあり、海外店舗数は614店舗増加の2,210店となりました。このように国内外の店舗数が増加したことから、連結チェーン全店売上高は、2兆4,245億円(前年比+6.2%)、連結営業総収入は7,006億円(同+6.6%)と、それぞれ前年を上回りました。

成長投資による減益レビュー

 一方、利益面では、期初計画から減益要因として見込んでいた、持続的成長に向けた次世代システム関連への投資に関する費用約40億円、新規事業であるローソン銀行の立ち上げにかかる費用約20億円など、これら成長投資にかかる費用が連結営業利益の押下げ要因となりました。次世代システム投資につきましては、計画通り新POSレジの全店導入を達成し、店舗オペレーションの効率化を進めることができました。また、ローソン銀行につきましては、2018年8月に銀行業営業免許を取得後、10月よりお客さま向けのサービスを開始し、銀行開業に伴う広告宣伝費や、新しく導入したソフトウェアにかかる費用が先行したことなどにより、減益となりました。
 その他の連結グループ子会社につきましては、成城石井事業やエンタテインメント事業は売上を順調に伸ばし、海外事業において収益が大幅に改善しました。これらの結果、連結営業利益は前年比50億円減益の約607億円(前年比−7.7%)となりました。連結当期純利益につきましては、店舗関連の減損損失は増加しましたが、前年度にITシステムの減損損失を計上したことの反動によるプラスの影響があったため、前年比12億円減益の255億円となりました。

2019年度計画とグループ全体での成長

 当社を取り巻く事業環境は、人手不足や人件費の上昇、業種を超えた競争の激化など、依然として厳しい状況が続いております。当社は、国内コンビニエンスストア事業において、2016年より1000日全員実行プロジェクトとして、加盟店支援のための取り組みを推進してきましたが、2019年度も継続して取り組んでいきます。
 2019年度の通期計画につきましては、こうした急速に変化する社会環境に対応するため、店舗でのオペレーションの効率化、業務省力化支援のための投資など、加盟店支援にかかる費用を見込み、連結営業利益の計画は前年とほぼ同額の608億円とします。
 また、出店につきましては、店舗のさらなる質の向上のため、出店数を700店舗に絞り込み、一方で加盟店利益の向上を見据えて低収益店舗の整理、より収益の高い店舗への置き換えを推進するため、700店舗の閉店を計画しており、結果として店舗数の純増はゼロとします。
 連結営業利益につきましては前年並みの計画としますが、増減の内訳につきましては、まず、ローソン事業の既存店売上高前年比+0.5%、総荒利益率を前年比+0.2%ポイント改善させることによる増益を見込むほか、低収益店舗の整理による増益効果を見込みます。一方で、各店舗のストアコンピュータの刷新などのシステム投資を含め、加盟店支援のためにかかる費用の増加を見込んでいます。さらに、店舗の閉店に伴う損失が増加することにより、連結経常利益は32億円減益の545億円、連結当期純利益は75億円減益の180億円を計画しています。
 なお、国内コンビニエンスストア事業以外の事業につきましては、金融関連事業のローソン銀行は引き続きATM(現金自動預払機)サービスを中心に、着実に進むキャッシュレス社会に対応した決済インフラ事業の展開を進めていきます。海外事業においては、中国の上海子会社を中核として、中長期で事業規模の拡大を目指します。また、こだわりの商品で堅調に伸長してきた成城石井事業や、エンタテインメント関連事業とともに、グループ全体でのさらなる成長を推進していきます。

財務健全性の維持と株主還元

 最後に、2018年度の年間配当金につきましては、1株255円から変更はありません。一方、2019年度の配当につきましては、配当方針を変更しました。当社は、株主の皆さまへの利益還元を経営の重要課題と位置付け、安定した配当を実施してきましたが、財務健全性を維持しつつ、業績に応じた適切な利益還元を行う方針に変更します。株主の皆さまに対する利益配分の姿勢をより明確にするために、配当方針として「連結配当性向」を導入することとしました。今後も、株主重視の姿勢は変わらないものの、持続的な成長のために加盟店支援、加盟店利益の改善に向けた投資を行いつつ、配当性向の範囲内で可能な限り配当を実施するもので、「1株当たり年間150円を下限として、連結配当性向50%を目標とする株主還元」とします。
 2019年度は加盟店支援とFC加盟店とのさらなる関係強化に注力し、FC加盟店との共存共栄による企業価値向上を図りながら、2020年度以降の利益回復、早期増配の実現に向けてチャレンジしてまいります。

1株当たり年間配当金と配当性向の推移

2020年2月期 連結営業利益の増減要因