社長メッセージ

社長画像

多様な方々や地域、社会に新しい価値を提供し
マチの誰もが“ほっ”とできる存在であり続けます

代表取締役 社長竹増 貞信

1000日全員実行プロジェクトで加盟店支援と売場力強化に注力

今、コンビニエンスストアを取り巻く状況は急速に変化しています。少子高齢化を受けて、生産年齢人口の減少に伴う働き手不足が大きな問題となっています。働くお母さんや一人暮らしの方が増えるなか、住まいや勤務地の近所にあって、朝も夜も必要なものが揃っているお店は今後も不可欠な存在として大きな役割を果たしていくでしょう。
 私たちローソンは、こうした状況を予見し、“みんなと暮らすマチ”が幸せな場所であり続けられるよう、2016年度から2018年度にかけて、加盟店支援強化、商品力強化、売場力強化、新店力強化を掲げた「1000日全員実行プロジェクト」に取り組んでまいりました。セミオート発注システムの導入や、フランチャイズ(FC)加盟店(以下、加盟店)とのフランチャイズ契約パッケージを見直した2015年度も含めると4年間、次世代コンビニエンスストアモデルの構築を通して、加盟店オーナーやクルー、そして私たちローソン本部も含めたみんなが幸せになれる事業展開を目指してきた4年間でした。
 なかでも主軸としてきたのが、加盟店支援強化と売場力強化です。
 働き手不足や人件費上昇への対策としては、さまざまな形で支援を進めるべく、デジタル技術導入への投資を行ってきました。クルーの方々がよりやりがいを持って働けるお店、そして主婦やシニアの方、外国人の方々にも働きやすい環境をいかにつくっていくかに注力をしてきました。
 タブレット端末や、暗算で確認する必要がなく外国語にも対応する自動釣銭機付のPOSレジ、さらに現在展開を進めているスマホレジなども、働く人の負担を軽減する取り組みです。
 また、店内調理のまちかど厨房併設店舗も増やしました。これは、店内で作ったおいしさがお客さまに喜ばれるだけでなく、接客の経験がない人も調理を入り口にして働いていただけるというメリットがあります。
 さらに、人材派遣会社であるローソンスタッフ株式会社を設立し、緊急時や冠婚葬祭などで人手が足りないときに人を派遣して対応できる仕組みづくりも行っています。こうした加盟店支援対策は、省力化の面で着実に効果を上げつつあります。
 一方、売場力強化に関しては、生活支援をより充実させていくことが大切と考えます。朝と昼だけでなく、夕方以降を含め一日中しっかりとお客さまの生活をサポートできるよう品揃えを強化し、店舗のオープンケースや棚を高くするためのハード投資も行ってきました。商品数は3,000品目から3,500品目へと増え、お客さまへの生活支援度も上がっています。
 また、昨年6月からは、毎日の仕事や子育てで忙しい方々に夕方以降でも近くのローソンで気軽にお買い物いただけるよう、1日3便の配送時間を見直して、夕夜間の売場をより充実させました。約1年かけてお取引先や製造工場、配送センターなど、すべてのパートナーの方々にご理解をいただきながら準備を重ね、混乱なく夕方の配送便の強化ができたことは大きな成果だったと思います。今では、「夕方もしっかりとした売場になったね」とお客さまからの声も多くいただくようになりました。

生活支援強化と人手不足対策振り返り

最大のパートナーである加盟店との共存共栄を目指します

 2018年度までの「1000日全員実行プロジェクト」では、多くの方にその変化を感じていただけたものと思いますが、これは決してゴールではありません。働き手不足の深刻化や、24時間営業問題などの課題と常に真摯に向き合い、全国の加盟店と一緒にチャレンジを続けていかなければなりません。
 フランチャイズビジネスでは、加盟店と本部が一体となって持続的に成長する共存共栄を目指しています。最大のパートナーであり、大切な存在である加盟店で課題があれば、一緒に解決していくのは当然のことですし、逆に本部で問題があれば、加盟店の力を借りて解決していくこともあります。私たちにとって加盟店は常に最重要パートナーです。
 これまで以上にしっかりと加盟店オーナーと膝を突き合わせて店舗での問題や課題を議論し、互いにするべきことを決め、加盟店と本部が一体となって確実に実行していく、その繰り返しこそが意味を持ちます。私たちローソンはこれまで、加盟店と常にフラットな関係を築き、現場の問題を共有して、一緒に解決していく姿勢を大切にしてきました。今後はそのスピードをいっそう上げていきたいと思います。
 お客さまのニーズや、マチや社会の変化に対応し続けていくためにも、今、多くの課題に直面している加盟店に対してハード・ソフトとも支援していくことは、私たちにとって一番のテーマであると認識しています。

令和時代における成長に向けて新ローソン宣言を定めました

 私たちは2019年度から、新ローソン宣言として「マチのほっとステーション」を新・企業スローガンに掲げました。
 これまでの8年間、私たちは「マチの健康ステーション」を掲げていましたが、“健康”に関しては、お客さまにも、加盟店や本部社員にも十分に認知されてきたと思います。
 健康に留意した商品群はナチュラルローソンブランドをはじめ、他チェーンとはひと味違う品揃えでローソンを特色づけるものとして今や安定的な評価をいただいており、ヘルスケアローソン、ホスピタルローソンなどの存在も浸透してきました。また、社員や加盟店スタッフの健康管理にも力を注ぎ、社員の健康診断受診率も100%をキープしています。もはや“健康”は私たちにとって当たり前の大前提であり、その上で何ができるかが重要です。
 コンビニエンスストアという業態は昭和に生まれ、平成で大きく成長しました。今年から令和という新しい時代に入り、どういうローソンになるべきかと考えたとき、私たちは、ステークホルダーに対して3つの約束をすることとしました。
 それが「圧倒的な美味しさ」と「人への優しさ」、そして「地球(マチ)への優しさ」です。この3つをしっかりとステークホルダーにお約束し、どこから見ても「ローソンっていいよね」と言っていただけるお店になっていこうということが、私たちの想いです。
 そして、それを実現するお店には、やはり「マチのほっとステーション」という言葉が一番ぴったりきます。24時間営業に踏み込み、トイレを開放するなど、さまざまなことにチャレンジしてきました。そして今、全国約14,500店舗で、3つの約束を掲げてマチの幸せを願っていくローソンは、原点の想いに帰りつつも、新たな時代に向けて進化しています。新・企業スローガンを「マチのほっとステーション」とした背景には、私たちの約束と願いが込められています。
 実は、ロゴの「ほっ」の上にある3つの点は、3つの約束を意味しているんです。ぜひご注目いただければと思います。

3つの約束の実行こそがSDGsの実現へと結びつきます

3つの約束にはどういう意味があるかをご説明します。まず「圧倒的な美味しさ」とは、食べ物だけに限りません。扱う日用品や店頭での各種のサービス、すべてがお客さまにとって、日々を彩る“美味しい”ものでありたい。その想いを込めて、圧倒的な美味しさをお約束するとしました。
 また、健康に留意した商品の品揃えや、加盟店の労働環境、支援といった面では、「人への優しさ」を常に第一に考えなければなりません。そして、立地するマチ、ひいては地球環境に対しても、優しい企業でなければ存在する価値はありません。それが3番目の約束「地球(マチ)への優しさ」です。
 今年度、私たちはSDGs委員会を設置しました。SDGsには世界が持続可能に発展するための17の目標が設定されていますが、ローソンは3つの約束を根本としてビジネスを成長させていくことが、SDGsの達成にもつながっていくと考えます。
 例えば、「地球(マチ)への優しさ」では、大きな課題となっている食品廃棄を減らすと同時に、子どもたちがお腹いっぱい食べられるサポートをしていく取り組みの実証実験を行いました。これは夕方から夜にかけて、販売許容期限の近づいたお弁当やおにぎりをお買い上げいただいたお客さまにポイントを還元し、同時に売上総額の一部を子どもたちの支援団体に寄付するという試みです。
 また、廃棄プラスチック問題についても積極的に向き合い、プラスチック使用量の削減に取り組んでいます。店内淹れたてコーヒー「MACHI café」のアイスコーヒーなどの容器を順次紙製に替え、ストローがなくても飲用に問題のない形状のフタに変更しています。また従来通り、店頭ではレジ袋や箸・スプーンなどがご不要でないかの声かけを実施しています。一つひとつの取り組みは小さくとも、全国約14,500の店舗では大きな成果をもたらすことは間違いありません。
 私たちは、こうして3つの約束を実行・実現していくことが、企業理念の実現とともにSDGsの実現につながるという考えのもと、日々の活動を積み重ねてまいります。

※SDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)):2015年の国連サミットで採択された国際目標。世界共通の目標とターゲットを設け、2030年までの達成を目指す。

生活支援強化と人手不足対策振り返り

多様な人財の働きがいを考え多くの取り組みを重ねています

 「人への優しさ」という約束は、本部の社員の働き方やダイバーシティについても同様です。ローソンではこれまで「1000日全員実行プロジェクト」のなかでも業務改革を断行してきました。4年前からプロジェクトを立ち上げ、長時間労働や不規則な働き方になっていた業務を洗い出して、やめるべきものはやめ、可能なものはデジタル化して、より効率的に働けるよう改革してきました。こうした働き方改革の考え方につきましては、各エリアの支店から徐々に定着してきています。
 さらにこれからは働きがいを、よりいっそう追求していきます。同じ7時間45分でも、働く人それぞれにとって意義のある7時間45分であれば、会社にとっても意義あるものになってくるはずです。もちろんそれが3時間でも5時間でも、いろいろな働き方があるなかで、そこに意義や働きがいがあるかどうかを、これからは大切にしていきます。ローソンがどこを目指していて、そのなかで、一人ひとりの役割は何なのか、そういう意義を認識して、働きがいにつなげていく。そうしたことにみんなでチャレンジしていきます。
 人財の多様性についても、早くから取り組みを進めています。新入社員に関しては2005年から女性・男性の比率はほぼ半分です。また15~20%は外国籍の方々を採用しています。
 私が一番大切にしているのは、さまざまな価値観がぶつかり合うところから新しい価値が生まれるということです。その新しい価値観こそがイノベーションにつながります。ローソンにはそれができる文化があると思っています。
 それは加盟店においても同様です。働き手不足への対策として、外国人留学生の方たちの働きやすさを追求し、POSレジやマニュアルなどを多言語化したり、写真や絵でわかりやすくしたりしています。さまざまな方にとって働きやすい職場を提供するこうした取り組みも、今後いっそう加速させていきます。
 本部も加盟店も、あらゆる国籍、あらゆるジェンダーの方がリスペクトし合って、互いの価値を認め合うなかで新しい価値を生み出していける。そうした環境づくりを、これからも引き続き行っていきます。

マチのニーズに即した多様な店舗を展開していきます

 昨今、コンビニエンスストアチェーンのドミナント戦略の是非が取り沙汰されています。ローソンでは旧来からドミナントの方針は取らず、ローソンが本当に必要とされるマチに出店し、他チェーンに先駆けて国内の全都道府県を網羅するに至りました。
 今年度は出店700店、閉店700店とする計画です。しかしこれは停滞を意味するものではありません。どのマチにどのようなニーズがあるか、また加盟店にとっても安定した店舗経営が成り立つのかを見極めながら成長を考えていきます。
 私は、平成時代に大きく成長したような、品揃えも営業時間も一律なコンビニエンスストアのあり方は、今後、社会の変化とともに当然変わっていくべきではないかと思います。今、社会全体でも一人ひとりのお客さまのなかでも、世の中の非常に多様な価値観を互いに認め合う流れがどんどん生まれてきています。そこをどう汲み取っていけるかが重要です。
 デジタル技術をフルに使った夜間無人店舗の実験も進めています。これは都市部などでは必要とされる形の一つと考えます。また、女性のお客さまからは「保育園に行って子どもが熱を出して困っているときに、近くのローソンで薬をもっと置いてくれたらありがたい」というお話もいただいており、調剤薬局や介護相談窓口を併設したローソン店舗も増やしています。
 そうした店舗には世代を超えて人々が集まる地域の拠点にもなっています。地方でも核家族化し、またみんながどんどん忙しくなっていくなか、いつも暮らすマチにあるローソンは、これまでと違った価値を生み出していくポテンシャルが非常に高く、そうしたさまざまなニーズにお応えしていけば、これからも企業としていっそう成長していけると考えています。
 また、コンビニエンスストアにはもっと地域性があってもいいのではないかと私は思います。もちろん、全国どこの店でも同じ商品、同じサービスがあるということの価値は大きいでしょう。初めてローソンが出店したエリアでは、マチのお客さまから「これで私たちも東京で売っているものが買えます」「ティラミスやGODIVAのスイーツが家の近くで買えるようになって本当にありがとうございます」ととても喜んでいただけまし た。それは平準化による価値です。
 その一方、同じローソンの看板でも北海道と沖縄で同じ商品・サービスを提供するのが、本当にお客さまが求める価値に見合ったお店づくりなのかというと、そうではない部分もあると思います。今、沖縄では地元大手スーパーの株式会社サンエーと組んで、沖縄独自のプライベートブランド商品も店内にたくさん並べていますが、地元のお客さまに評価されているだけでなく、県外からの観光客やインバウンドの方々にも、沖縄のローソンってこんなのがあるんだという新しい価値を認めていただいています。鹿児島県の店舗でも今、同様のチャレンジをしています。
 全国どこでも買える基本的な商品が数多く揃っていて、その上に地域性、多様性を表現するような商品・サービスがある、そうしたバランスをどのように取り、新しい価値を付加できるか。令和という時代になって社会の価値観はよりいっそう変わっていくでしょう。多様なローソンを同じ看板の下でつくっていく、そのようなお店づくりに挑戦していくことがいっそう求められてくるのではないかと思っています。今後の持続的成長は、加盟店と私たちのそうした努力とチャレンジにかかっていると思います。
 私が自身で全国を回って地元の方々にお話を聞くと、ローソンに来てほしいマチはまだまだたくさんあると感じます。東京など大都市圏だけを見るとコンビニエンスストアは飽和状態と言われますが、地方では今も買い場に困っている方や、東京と同じものが買えないという方は大勢おられます。また東京においても、買い物にお困りの高齢者の方や働くお母さんとお子さんも増えています。都会でも新しい形の、近所のお店が求められていくでしょう。
 単に店舗数を追うのではなく、いかに変化する社会のニーズに応えて新しい価値を生み出せるかが最も大切なことだと考えています。

サクバタ サクッとバターサンドピスタチオ
どらもっち(あんこ&ホイップ)

三菱商事の力を活かしつつ戦略的展開を進めていきます

 三菱商事による支援はローソンの大きな力になっています。これらの力を私たちがどういう価値としてお客さまに提供できるかというアイデアと実行力に活かしていきます。例えば海外での店舗展開や原材料調達、GODIVAなど海外ブランドとのコラボレーションなどは三菱商事の力を大いに活用しています。また、ロジスティクスを含めた事業改革や、ローソン銀行設立も三菱商事の支援なくしては成立しえませんでした。
 もちろん、お客さまのニーズを感じ取り、それを実現していく方策を考えていくのは、あくまでもフロントに立っている私たちローソンです。加盟店の皆さまと一緒に、日々ご来店いただくお客さまの志向の変化をどう感じ、それに対する戦略をどう個々のお店に表現していくか、それが私たちにとって最も大切なことです。そうした営みを後方から支えるベースとして、安定した強い物流や製造拠点、あるいは海外へのネットワークなどがあるわけです。
 金融サービスや海外展開などの新しい分野や、商品開発、原材料調達などのベース部分には、今後もこうした強いパートナーシップをよりいっそう効果的に活用し、スピード感のある事業展開を進めます。三菱商事グループのリソースを活かしつつ、フロントの私たちは上場企業としての変わらぬ独自性を維持し、店舗に注力していくことで成長を目指していきます。
 これからのローソンの飛躍に、どうぞご期待ください。