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言葉だけの「女性活躍社会」にしないために

小売業で初めてローソンが3年連続「なでしこ銘柄」を受賞。

蓼山 陵さん 「コンビニ探訪社会学」

「なでしこ銘柄」3年連続選出のローソンに課せられた使命


2月に仕事で宮崎県を訪れた。レンタカーで移動中、霧島連山の麓の街で街道沿いのローソンに立ち寄った。お茶とお弁当をレジカウンターに持っていくと、対応に出たのは胸のネームプレートに若葉マークがついた新人さんだった(アルバイトだろうか)。高校を出たばかりの年頃の女性で、ちょっと厚めに見えるメークがなんだか“気負い”を感じて微笑ましかった。丁寧な応対ぶりに、「がんばって!」と心の中で応援した。


人口が1万人にも満たない九州の小さな町のコンビニで新たなキャリアをスタートした彼女の今後に、いったいどんなドラマが待ち受けているのだろうか。4月を迎え、全国各地でこうした新たな門出が始まる。数十万人の若者が、社会の荒波の中に飛び込み、さまざまな試練を乗り越えて成長していく。その半数近くは女性である。就職、恋愛、結婚、出産、育児という階段を登りつめながら、キャリアを磨きあげていくのは容易なことではない。現に、大都市圏を中心に全国で待機児童の問題が深刻化している。


政府は「一億総活躍社会」とか「女性の活躍促進」を目標に掲げている。「一億総活躍社会」とは何とも勇ましいフレーズである。70年前の戦時中のスローガンを彷彿させるといった指摘も出ている。格差社会、こどもの貧困といった新自由主義経済がもたらした歪からの脱却のためには、大胆な政策転換が必要なはず。課題が山積するなか、実効性のある政策が不可欠である。今年は夏の参院選に加え、衆院解散に伴うダブル選の可能性もささやかれている。「一億総活躍社会」が選挙対策のためのスローガンに終わらないことを願いたい。

多様性を認め、誰もが活躍できる環境整備を


と、ここまで原稿を書いた時、公営の浦和競馬に出走していたJRAのルーキー女性騎手、藤田菜七子騎手が2番人気の馬に騎乗し、見事に逃げ切って待望の初勝利を挙げた。3月初旬のデビュー以来、メディアに注目され続け、大変なプレッシャーがかかっていたと思う。そんななかで、期待に応えることができたのだからすばらしい。初騎乗から3週間での快挙の背景には、彼女を成長させたいという馬主、調教師をはじめ多くの競馬関係者の方々の後押しがあったからだ。


一億総活躍社会という言葉には、さまざまな意味合いを感じ取ることができる。超高齢化社会が進むなかで、高齢者にも元気であってほしい、女性や若者たちにもっと活躍の場を、在日外国人の方々に門戸を広げよう、障害を持つ方々の活躍を、などなど。そのなかで一つの柱になるのが「女性の活躍」ということであろう。


スポーツ界では女性の活躍がめざましい。ジャンプの高梨沙羅選手は今シーズン絶好調で2季ぶり3度目のW杯個人総合優勝を成し遂げた。フィギュアスケートでは世界ジュニア選手権の女子シングルスで本田真凛選手が自己ベストを更新して逆転優勝。この大会は3位、4位にも日本選手が入る大活躍だった。


ビジネスの現場でも女性の活躍は確実に広がっている。昨年、女性で初めて経団連の役員に就任したBTジャパンの吉田晴乃社長はシングルマザーで渡米した。キャリアを積んで日本に転勤。2012年に同社社長となり、15年に経団連審議会副議長に就任した。吉田氏はある雑誌のインタビューで「私が経団連の役員になるのは、日本が大きく変わろうとしている象徴だと思う。英国で経営者らが集まるパーティーに出席したら、3、4割が女性だった。日本も遠くない未来、こうなってほしい」と語っていた。


実際、筆者が20年間ほど担当してきた企業の広報や開発担当などの現場では、女性社員がいきいきと活躍していた。この10年ほどは、とくにその傾向が顕著になったように思う。回顧話になるが、かつての会社の採用面接でも男子学生がマニュアル回答なのに対し、女性応募者は自分の言葉で主張し、手ごたえを感じたものだ。そのころ、企業の採用担当者と話をすると「うちもテストだけでなく面接も上位は女性ばかり。男子はどうなっているのか」といったボヤキを聞いたものである。


ところが、現状はなかなか女性の活躍の場が広がっていかない。数字だけで判断するのは意味がないかもしれないが、女性役員の登用率の低さを見ても明らかだろう。内閣府のデータによると上場企業3608社の役員等に占める女性の割合はなんと1・2%(4万1973人中515人=男女共同参画白書平成23年版)に過ぎない。キャリアも能力もある女性たちが活躍できない社会というのは、本人にとっても企業にとっても、社会にとっても大きな損失である。

コンビニ業界がどんどん壁を突き破ってほしい


そんな状況下で、ローソンが平成27年度の「なでしこ銘柄」に、小売業として初めて3年連続で選出された。画期的なことである。「なでしこ銘柄」は経済産業省と東京証券取引所が共同で、「女性活躍推進」に優れた企業を「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介する事業だ。

平成27年度「なでしこ銘柄」ロゴ


ローソンのこの10年ほどの取り組みを振り返ってみよう。2005年に新卒採用の目標女性比率を5割に設定。2011年には本社の女性社員比率が25%に、商品開発女性比率が30%に達した。定量目標として「2020年には管理職における女性比率を30%にすること」を決定した(定性目標は、女性が子育てをしながら活動し続けられる会社であること)。2014年には事業所内保育施設「ハッピーローソン保育園」を開園。2015年には男性の育児休暇取得率が70%にまで上昇した。


このほか「育児時短制度」「在宅勤務制度」「ベビーシッター利用補助」「帯同転勤」などさまざまな子育て支援策を実施している。


社会の先端をいく一連の施策の背景には「女性をはじめとする多様な人財の活用を図り、社内活性化に努める」という経営ポリシーがある。コンビニは国民にとって最も身近であり不可欠な存在である。そのコンビニ企業が多様性を尊重し、人材を活かすシーンが増えれば増えるほど、それは商品開発や店舗サービス、新規事業という形で利用者に、社会に還元されることになる。同時に、多様な人材が幅広く活躍できる社会構築に向けた新たなモデルにもなるはずだ。今後の展開に期待したい。



蓼山 陵

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