


フォーミュラ・ニッポンは、世界最高レベルのドライビングテクニックを争う日本独自、モータースポーツカテゴリーです。フォーミュラ・ニッポンの「フォーミュラ」とは「規格」を意味する言葉です。フォーミュラカーとは厳しい規格に基づき競技専用に開発されたレーシングカーのことで、一般的には4個のタイヤが露出した形式のレース専用車両を指します。フォーミュラ・ニッポンは、この「フォーミュラカー」を用いて行われます。
フォーミュラカーの車体は、安全性を確保した上で「進む」「止まる」「曲がる」というクルマの基本性能を究極まで引き上げた車両です。したがって、屋根やタイヤを覆うフェンダー、前方を照らすヘッドライトなど、サーキットで速く走るために不必要なものは一切取り付けられていません。一方、最高時速300km/hを超える高速で走行する際に車体の安定性を確保するための翼が車体前後に取り付けられています。その結果、車両の外観は市販乗用車というよりも航空機に似ています。
ひとくちにフォーミュラカーと言っても、エンジンの形式や排気量、車体の形状によってバリエーションがあり、基本的にはその性能によってクラス分けされています。有名なところでは世界各国を転戦するF1や、F1を目指す若手選手が参加するGP2、日本でも行われているF3などがあります。
日本ではかつて、GP2の前身であるF2やF3000のレースが行なわれてきましたが、96年に日本独自のカテゴリーとしてフォーミュラ・ニッポンが生まれました。
フォーミュラ・ニッポンはその後、何度かの車両規格変更を経て発展し、2009年にはさらに大きな飛躍を遂げようとしています。

速く走るためだけに開発されたフォーミュラカーから十分な性能を引き出し操ったうえでライバルよりも速く走るためには、研ぎ澄まされたドライビングテクニックが求められます。レーシングカーが主役となって機械の性能や耐久性を競うレースがスポーツカーレースであるのに対し、フォーミュラカーレースで競われるのは、それを操るドライバーのドライビングテクニックです。フォーミュラカーレースで勝つのはマシンではありません。そのマシンを操ったドライバーなのです。フォーミュラ・ニッポンでは、人間の能力を競争させるため、その道具となるマシンの性能を高いレベルを維持したうえで個体差が生じないよう、車両に対しては細部にわたって独自の改造が禁じられています。
フォーミュラ・ニッポンは日本全国のサーキットを転戦するシリーズ戦であり、日本を代表するベテラン選手はもちろん、国内外で腕を磨いた若手選手や、海外の有力選手たちが参戦します。わざわざ海外から参戦する外国人選手たちは、フォーミュラ・ニッポンについて「マシンの性能差がなく、ドライビングテクニックだけを競い、評価が得られる点が魅力」だと言います。これだけの高性能マシンがイコールコンディションで揃い、ドライバーがテクニックを競いあえるという点で、フォーミュラ・ニッポンは世界に誇るフォーミュラカーレースなのです。
![]()
エンジンには最大回転数を10,300rpmに制限するレブリミッターが装備されますが、09年度からの新しい試みとして、オーバーテイク・システムが装備されます。これは、ステアリングに取り付けられたボタンを押すと、レブリミットがボタン押し下げから5秒後より20秒間にわたって10,700rpmまで引き上げるという仕組みです。
オーバーテイクシステム自体は、その原理は異なるにせよターボ過給エンジンを用いるカテゴリーなどで装備されてきた経緯はありますが、その使用状況をリアルタイムで観客に示し、レース観戦の演出の一環として用いるのは世界初めての試みです。
このシステムは、追い抜きをかけるときの加速を増すための「奥の手」ですが、使用回数は決勝中に5回と限られています。したがってドライバーは、オーバーテイク・システムを最適のタイミングを選んで使用しなければなりません。

なお、ドライバーの頭上にあるロールオーバーバーには5つのLEDが埋め込まれており、オーバーテイク・ランプと呼ばれます。オーバーテイク・ランプは、その発光個数でオーバーテイク・システム使用残り回数を表しますが、シリーズポイントランキング首位の選手(開幕戦は前年度チャンピオン)の場合はレンズにより赤色発光させて観戦中のファンにその存在を示します。ともに、ファンにとってはレース戦略を楽しむためのひとつのツールになります。
