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2015年12月 8日

カテゴリー: 蓼山 陵さん 「コンビニ探訪社会学」

GDP2四半期連続マイナスの暗雲

 

■ 個人消費は増加だが、単純に喜んではいられない

パリで発生した同時テロの影響がヨーロッパ経済の先行きに不透明感を漂わせている。影響は東京の株式市場にも及び、16日の日経平均株価は一時300円以上も下落した。今後の推移から目が離せない状況が続く。

 

そうしたなか、2015年7―9月期の実質GDP(国内総生産)速報値が内閣府から発表された。前期比0.2%減、年率換算では0.8%減だった。2四半期連続のマイナス成長である。中国経済の先行き懸念などを背景に企業の設備投資が1.3%減となったことなどが要因だ。

GDPの6割を占める個人消費は0.5%増と、こちらは前期の0.6%減から0.5%増へと転じた。個人消費に直結するもうひとつのデータ、実質賃金はどうなっているか。厚労省発表の9月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は、前年同月に比べ0.5%増えた。3か月連続のプラスとなった。

GDPはマイナスとなったが、実質賃金が増加傾向にあり、個人消費も微増というデータだけみれば、なんとなく明るい兆しが見えてきたかのように思える。しかし、まだまだ楽観は禁物だ。

 

「企業の設備投資意欲が冷え込んでいる点が気になります。中国経済が不透明だったことで慎重になっていると思われますが、今回のテロで欧州経済の不透明感も出てきた。ISへの対応をめぐる米国やロシアの対応次第では、世界経済全般に影響が及ぶ可能性があります。あってはならない事態ですが、最悪の場合、“テロの拡散”も懸念されています。経営者が積極経営に打って出る環境とは程遠いですね」(経済ジャーナリスト)

 

国内に目を転じると、マンションのくい打ちデータ改ざん問題で、住宅販売への影響が心配される。実質賃金も増加に転じたとはいえ、増加幅は微々たるものだし、中小、零細企業の従業員の実情は依然として厳しい。政府は2015年度の成長率目標を1.5%としているが、この景気回復シナリオには赤信号が点滅しているのが現状だ。

 

 

■ 百貨店、スーパー、コンビニの売上高は6カ月連続増

それでは、小売り現場の数字はどうなっているのか。11月に発表された9月の実績を調べてみると、意外や意外、総じて堅調なのである。(前年同期比)

百貨店 売上高 4463憶円(全店ベース) 1.8% 増(既存店ベース)
スーパー 売上高 1兆380億円(全店ベース) 2.9% 増(既存店ベース)
コンビニ 売上高 8511億円(全店ベース) 1.3% 増(既存店ベース)

3業界ともに個人消費の増加分(0・5%)を大きく上回る増加率で、6カ月連続の増加である。なにか特別な要因があったのだろうか。

 

「要因のひとつはシルバーウイークですね。休日が一日増えたうえ、好天に恵まれました。これが来店客増、売上高増につながった。もうひとつは訪日外国人の増加に伴うインバウンド消費の恩恵ですね。中国人の“爆買い”に象徴されるインバウンド消費は、相変わらずすごい。百貨店ではインバウンド客の購買客数は231.8%増、売上高は180%増と、32カ月連続のプラスです」(前出の経済ジャーナリスト)

 

コンビニ業界の実態を詳しくみてみよう。「JFAコンビニエンスストア統計調査月報」(2015年9月度)に公表されているデータは次の通り。

 

店舗数 52650店 前年同月比3.4%増
来店客数 13億225万人(既存店ベース) 前年同月比1.2 %減
平均客単価 598.5円(既存店ベース) 前年同月比2.6%増
店舗売上高 77万9402円(既存店ベース) 前年同月比1.3%増

 

JFAは9月の全般的動向について「台風17号、18号や全国的に気温が低かったことから既存店の来店客数に影響を及ぼした。しかし、淹れたてコーヒーを含むカウンター商材や、シルバーウイーク等の行楽需要を受け、おにぎりや弁当、総菜などの中食が好調に推移したことから、全店、既存店とも売上高は前年を上回る結果となった」と分析している。

 

 

■ コンビニもインバウンド消費に対応中

目立った数字ではあらわれてきていないが、コンビニもインバウンド消費の潮流の中にあり、対応を強化中だ。ローソンは今年2月から広尾駅前店(東京・渋谷)とナチュラルローソン京橋創生館店(東京・中央)の2店舗からスタートし、現在はTOC大崎店、成田国際空港第3ターミナル店でも免税対応をしている。外国人観光客はレジで支払いをした後に、専用カウンターでパスポートとレシートを提示すれば消費税分の払い戻しを受けられる。

このほか、8月にオープンした駅ナカ売店型コンビニ「ローソンメトロス秋葉原店」では、外国語による商品説明の表記や、外国人客に人気の商品の品ぞろえを充実させるなどインバウンド消費に対応している。こうした動きは2020年の東京五輪に向けますます加速、拡大していくだろう。

 

ただ、忘れてならないのは、インバウンド消費はあくまで一部に過ぎないということ。コンビニの屋台骨を支えているのは、なんといっても国内客である。世界的な景気不透明感が強まる中、消費者マインドは冷え込みが予想される。さらには、2017年4月には消費税の再増税がやってくる。コンビニ業界をはじめ小売り、流通業界には逆風が待ち受けているといってもいいかもしれない。

そうした中で、いかに利用客の心をつかみ取っていくか。M&Aによる規模拡大だけでは対処しきれないテーマだ。しっかりとしたマーケティングと地道な商品開発、さらなるイノベーションが不可欠であることは言うまでもない。時代の流れを見ながら、移ろいやすい消費者のニーズに応えられる商品、サービスを常に展開していく。生誕から40年が過ぎたコンビニ業界にとって、これからがまさに正念場になっていく。

 

 

蓼山