ローソン広報 Smile Blog ~ほっとな情報でみんなの毎日を元気に~

※記事中の価格表記は記事掲載時の税込価格となっております。2014年4月1日以降は、新税率8%に基づく税込価格となります。

2015年11月 6日

カテゴリー: 蓼山 陵さん 「コンビニ探訪社会学」

過疎対策、地方活性化に「村のコンビニ」を


少し前の話になるが、9月は移動が多かった。仕事とプライベートで高知、北海道を回った。ツクツクボウシの鳴き声に夏の終わりを感じた高知、一方の北海道はナナカマドの真っ赤な実が秋の訪れを告げていた。

ryoumas

 

あまり知られていないことだが、高知は実は日本一の森林県である。足摺岬、室戸岬、黒潮、カツオと海のイメージが強いが、森林率はなんと84%。飛行機の上から見るとよくわかるが、山、山、山の県なのである。今回、高知龍馬空港から愛媛県境の四国山地に向かい、標高1700メートル前後の峰々を歩いてきたが、登り口までは清流沿いの国道、県道、町道を車で走る。景色はいいが、道は狭くカーブが多いので気が抜けない。ある国道では2時間余りのドライブ中に4頭もの野生動物が車にはねられて死んでいた。ロードキルである。

この山深い土地には当然ながらコンビニが少ない。いや、正確にいえば町の中心部を外れるとまず見つからない。たまに道の駅はあるのだが、ここは特産品や土産物、そして温泉コーナー。観光ついでに立ち寄るにはいいが、ちょっとした日用品を買い求めようとすると役に立たない。「絆創膏が切れそうだから買っておこう」「電池を忘れた」。そんなとき、コンビニがないと本当に困ってしまう。

 

■ 全国にはコンビニが1軒もない自治体がある

全国にコンビニは5万軒以上ある。都会暮らしでは当たり前の存在で、自宅からも歩いて行ける範囲に必ず数軒ある。それが地方の山間部に行くと10km、20km先に1軒といったケースが珍しくない。小さな集落には雑貨屋さんがあったりするが、コンビニの機能はとても期待できない。ネットで検索してみたら、コンビニがない自治体が結構あるようだ。北海道や東北の小さな漁村、山間の村などである。地方の自治体に大手コンビニが初出店した際、開店初日に長蛇の列ができたというニュースが流れていたが、地方に暮らす人々がコンビニの出店をいかに歓迎しているかを物語っている。

身近にコンビニがない生活を考えていただきたい。これまでに何回も触れてきたが、今のコンビニは買い物の拠点というレベルをはるかに超えた社会インフラとなっている。災害時には避難や緊急食糧配備の拠点ともなる。今回の旅では、北海道の知人の別荘に1週間滞在したが、近くのコンビニまで3kmほど、車で10分かかった。歩いては行けないが、それでも24時間やっていると思うと心強かった。地方では都銀の店舗がほとんどないから、コンビニのATMは本当に助かる。旅行者にとってもコンビニは欠かせない存在である。

 

yama

 

■ コンビニ格差の是正で若者を呼び戻せないか

コンビニがない自治体、あるいは少ない地域というのは、大半が過疎化に悩んでいる。高齢化が進み、人口減が止まらず、将来の消滅の危機に怯える。生活者に密着したコンビニの存在は、こうした地方の自治体にこそ必要なのではないか。コンビニ格差の是正である。もちろん、ビジネスであるから損益を度外視してまで作ることはできない。民間だけの力だけでは限界があるかもしれない。「地方創生」を掲げている政府や過疎化対策に取り組む自治体の知恵と助成が必要だろう。

通常規模のコンビニでなくてもいい、サイズは小さくても最低限の機能を備えた「村のコンビニ」を官民一体で立ち上げ、運営することはできないだろうか。街道沿いであれば観光客やドライバー向けに、特産品や地元のとっておき情報サービスのコーナーを設ける。

体験型のサービスを用意してもいい。高知には農家民宿という施設があった。農家を改造して民宿にし、地元の素材の料理を提供、川遊びなどの体験案内がついているものだ。こうした農家民宿、漁師民宿とセットにしたコンビニがあってもいいではないか。

 

コンビニができて人が集まる。そして活気が生まれ、さらなる知恵と工夫で活性化につなげていく。そうすれば村を出て行った若者たちが帰ってくるかもしれない。コンビニを起爆剤とした地方活性化策を考えていきたい。

 

蓼山 陵