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2015年6月 9日

カテゴリー: 蓼山 陵さん 「コンビニ探訪社会学」

地方活性化、地方創生とコンビニ業界のかかわり

■ 子供の姿が見えない集落がどんどん増えている

5月下旬、大分に取材旅行に出掛けた。清流の流れる温泉地の旅館で朝食を摂っていたとき、窓越しに集団登校する小学生の姿が見えた。1年生から6年生までのグループで学校に向かっていく。ほのぼのとした光景である。数組が通り過ぎた後、一人の女の子がポツンと立っていた。やがて仲間の子があらわれ、この組も学校へと進み始めた。ところが、女の子は仲間が行くのに、その場に居続けている。どうしたのだろう。食事よりもこの子のことが気になって仕方がない。

(仲良しの子が来ないので待っているのだろう)

そう思いながら様子をうかがっていると、3分ほどして待つのをあきらめたのか、一人で歩き始めて行ってしまった。それからしばらくして、同じ年頃の女の子があらわれた。やはり、この子を待っていたんだ。友達がいないことを確認すると、後から来た子もひとりで登校していった。なんとも懐かしいシーンだ。この町は子供たちの姿があるから大丈夫だな。そんなことをつい思った。

 

朝食後、温泉に浸かっていると、九州の別の地区から来た初老の男性が入ってきて世間話になった。男性の住んでいる集落は200人ほどの人口だが、子供数が減り続け、子供会は10人程度しかいない。逆に老人会は120人以上もいるという。

「子供の親御さんたちは、自動車工場の契約社員の人が多いけど、収入は厳しいからねえ。建設業の人たちも1日働いて8000円。奥さんがパートに出てやっと食いつないでいますよ。なにしろ、ほかに働くところがないから若い人はみんな出て行ってしまう。このさき、町はどうなるかねえ」

男性の顔に憂いの表情が出た。

 

この手の話は北海道の町でも耳にした。働く場所がないから都市へ、都会へ若者が流出していき、帰ってこない。町は老人の比率が高まり、子供たちの歓声が聞かれなくなっていく。地方創生いう言葉がむなしく響く。

 

kids

 

■ 魅力ある町にするには何が必要か

手をこまねいていたら、地方の疲弊は進むばかりである。超高齢化の進行で、税収が減り、歳出が増えて財政破綻が現実のものとなる。やがては自治体消滅という最悪のシナリオに至ってしまうだろう。

だが、再生、再建のヒントはいくらでもある。いまや全国的に有名になった鳥取・海士町では、危機感を抱いた町が徹底したコスト削減とともに水産物の流通改革、ブランド化などに取り組み、全国から移住者を呼び込むことに成功した。地方には豊かな資源がある。それをいかに産業化し、町の外、県外、海外から人とカネを呼び込むか。そこに知恵を絞るべきだろう。

荒れ果てた農地、山林、廃れた温泉街。あきらめるのは早い。官(自治体)と民(企業)が一体となって、想像力を働かせ、特産品、観光資源の再活性化を図り、新たな流通チャネルを構築する。すぐには黒字化が期待できずとも、移住者や国内外からの観光客を呼び込めるような展開に持っていく。そのための知恵を絞るべきだろう。

 

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■ 健康志向の新たなビジネスモデルにコンビ業界も参画を

そうした地方の活性化にあたって、キーワードになってくるのが健康だろう。野菜や魚、肉、米、果物。安心・安全でおいしい食べ物があるところに人は集まり、ニーズが生まれる。ローソンはいま、全国23ヵ所でローソンファームを展開している。コメづくりに取り組む「ローソンファーム新潟」は、注目すべき一つのモデルだと思う。将来農地集約で100ha規模にまで広げる予定だという。コメだけにとどまらず野菜、果物にも幅を広げていけば、自社ルートでの販売数量確保にとどまらず、雇用拡大による地域活性化につながる可能性がある。

 

農業だけではない。水産業や林業においても、現状では衰退の一途をたどっている地域も、ニーズのあるコンビニやスーパー業界、インテリア業界などと手を組み、従来にない方法で取り組めば生産性、効率性、流通チャネルなどさまざまな改革、改良を図ることができるのではないか。

 

温泉も魅力の健康コンテンツだ。日本では古くから湯治という文化があった。最近、各地で湯治が見直されている。一線を退いたシニア客が長期間滞在できるような手頃で楽しい施設をつくれば、ニーズは確実にあると思う。守りの健康ではなく、攻めの健康=未病につながる湯治とスポーツをうまくミックスさせたスタイルはできないものか。そこにコンビニ業界が参画したら面白い。「介護コンビニ」を登場させたのだから「湯治コンビニ」ができてもいいではないか。幸い日本には全国にさまざまな効能を持つ温泉が点在している。これを斜陽化させる手はない。

すべてをゼロから始める必要はないのだ。今ある特産品、資源をいかに再活性化させるか。新たな付加価値をどう付け加えていくか。知恵の勝負だろう。

 

蓼山 陵