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2015年4月27日

カテゴリー: 蓼山 陵さん 「コンビニ探訪社会学」

コンビニ近未来像 「規模拡大」か「インフラ機能の充実」か

■ 10兆円市場のコンビニで繰り返される再編劇

最近、コンビニ業界の勢力図を塗り替えるのではないか、という買収劇が話題になっている。業界大手が中堅を買収するというものである。他の買収報道も続いている。いまやどの業界でもM&Aは当たり前。筆者が社会人になった頃、12行あった都市銀行(懐かしい響きだ)も統合ラッシュでいつのまにかメガバンク3行中心の体制になってしまった。生保業界、損保業界も同じである。上位3社と中堅以下の規模、経営体力差が著しいコンビニ業界にあっても、統合、再編は避けられない。事実、これまでも大手による中小コンビニの統合や、看板替えなどが繰り返されてきた。

10兆円市場に拡大したコンビニ業界。最近の実態を見てみよう。日本フランチャイズチェーン協会の「コンビニエンスストア経済調査月報」によると、2015年2月度のコンビニの総店舗数は52380店で、前年同期に比べ4.8%増。来店客(既存店ベース)は12カ月ぶりのプラスで11億105人(同0.1%増)だったが、店舗売上高(既存店ベース)は6629億円(1.4%減)と11か月連続の減少となった。タバコや雑誌の売り上げ減が原因だという。

それにしても、すごい数字である。1カ月に11億人が利用しているということは、単純計算では、年間132億人がコンビニを訪れているということになる。完全に生活インフラとなっていることが分かる数字だ。

この巨大マーケットをめぐる顧客争奪のための競争は激しくなるばかり。コンビの先駆けと言われた中堅コンビニも買収の波に飲まれそうである。今後、大手によるさらなる寡占化は避けられないと思われる。

 

ritou

 

■ 大手の寡占化が進む中で求められるものは何か

全国的に大手による寡占化が進むのは時代の流れかもしれない。それまでなかった大手コンビニが初進出したある県では、「開店前から大行列」といったニュースが流れた。都会では当たり前の存在である大手のコンビニが、地方によっては遠い存在だったのである。物珍しさもあったろうが、それだけ期待度が高かったということなのだろう。

今後、全国的な寡占化が進めば、どこへいっても大手3社のコンビニが存在し、同じ商品、サービスが展開されることになる。利便性が全国各地、津々浦々に拡大するわけだ。それはそれで結構だが、長年、地方で親しまれてきた中小コンビニの独自性や特徴は、そのまま消滅してしまうのか。全国均一の商品、サービス展開が当然であることは分かるが、その土地の人々に受け入れられてきた商品やサービスは、どこかに形を残していってほしいと思う。

コンビニオーナーや従業員の方にとっても、買収され、看板が変わるということは大変なことだろう。それまでなじんできたやり方とは全く、違う手法で取り組まなければならなくなる。そうした方々への配慮、ケアも十分行い、双方に"買収効果"がいい形であらわれてくることを願いたい。

 

hondana

 

■ 地方の「知的インフラ」の役割を期待

2月に沖縄に取材で出掛けた際、本島からフェリーで30分ほどの離島に渡った。人口4000人余りの島には、スーパーとコンビニが1軒ずつあった。お世話になった民宿のオーナーと会話を交わした際、彼はこんなことを漏らした。「島にはね、本屋がないんですよ。仕方ないから本島に渡ったときに立ち寄るか、アマゾンだけど、アマゾンでも4日かかるんだよね。たまには自由に立ち読みをしたいさ」。

北海道の地方都市に取材で行ったときに、筆者自身が同じことを痛感した。コンビニに雑誌はあるが、街にきちんとした書店がない。全国的に書店が大幅に減少しているのは周知のことだが、実際にそういう現場に遭遇すると、その不自由さは、いかんともしがたいものがある。日常的に「知的欲求」に応えてもらえない、地方生活の不便さ。これは社会の大きな課題である。

そこで、提案である。地方の隅々にまで進出する大手コンビニに「知的インフラ」の役割を強化していただけないだろうか。経営難の小規模書店と連携するとか、パソコンやスマホに不慣れな高齢者のために、コンビニ店舗内における一般書籍の取り扱いリストを増強するとか、あるいは「移動書店」を駐車場に開設するとか。

書籍の話は一例である。地方の人々が大手コンビニに何を求めているのか。そのリサーチは欠かせない。コンビニは確実に大きな社会インフラ、生活インフラとなっている。規模拡大、競争力強化だけでなく、いろんな面でのインフラ機能強化に、常に目配りをしていってほしいものである。

 

蓼山 陵