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2015年4月20日

カテゴリー: 蓼山 陵さん 「コンビニ探訪社会学」

フレッシュマンの季節! 夢の実現に向かって進んでほしい

■ 毎年70万人前後が新社会人に

桜の開花宣言が各地で聞かれるようになった。春、フレッシュマンの季節到来である。厚労省のデータによると、新規学校卒業就職者は毎年70万人前後に達している。厳しい就職活動を乗り越え、ようやく社会人としての第一歩を踏み出そうとしている若者たち。そこには70万の夢と希望がある。新たな船出をお祝いしたい。

sakura

50代半ばの筆者にも、そんな懐かしい日々があった。初出社の日のことは、いまだに鮮明に覚えている。朝7時に出社し、挨拶もそこそこに編集の現場に放り込まれた。先輩記者の一挙一動をつぶさに観察。「あれ持ってこい」「この原稿を○○に渡して」「ボケっとしてるな」・・・。まるで戦場だ。あっという間に夕方になった。

本当の試練はここからだった。編集長が「もういいんだろ」とやさしく声をかけてくれた(と思った)。「メシに行こうか」。会社近くの小料理屋で酒を飲みながら、二人だけの歓迎の宴を開いてくれたのである。

「いい会社だなあ」「頑張ろう」。心の底から、そう思った。

 

2時間ほどでその店を切り上げたボスは、「銀座でも行くか」。4丁目の交差点から並木通りに向かう。新品の靴だったので、足にマメができてしまい痛くて仕方がない。早足の大先輩に遅れまいと、足を引きずりながら必死についていった。それからスナックみたいな小さな店のはしごである。店ごとに同業者や作家の方々がいて、とにかく名刺を渡し、頭を下げまくる。飲み慣れない酒と緊張感で、何を話したのか、何を聞いたのかは定かではない。最後の店を出たのは夜中の3時ごろだったか。

いま思い返せば、ずいぶんと手荒い歓迎であったが、人に会って話を聞くのが商売の身からすれば、何とも贅沢なオン・ザ・ジョブ・トレーニングでもあった。社会人1日目に、通常では会うことのできないような人々に引きあわせていただき、そうした方々の会話に耳を傾けられたのである。貴重な一夜だった。その会社には約30年間、お世話になった。

 

■ 「新入社員の3割が3年以内に辞める」は15年前から

新入社員というと、この数年必ず話題になるのが早期退職論である。「今の新入社員は3年以内に3割が辞めてしまう」という話である。「七五三」という表現もある。中学卒業者の早期退職者が7割、高校卒業者が5割、大学卒業者が3割なのだとか。

実際のところどうなのか。出典となっている厚生労働省のデータ「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」(平成8年~平成25年)をチェックしてみた。

直近3年分のデータが揃っている平成23年分(大卒)をみると、就職者数は37万7606人。1年目までの離職者数は50704人、2年目までは38166人、3年目までは33327人。合わせて12万2197人が3年間で辞めている。離職率(合計)は32・4%である。なるほど。3割説は本当だった。新規採用活動や採用後の研修、教育に大変な労力、コストをかけた挙句、あっさりと辞められてしまっては、企業はたまったものではない。「近ごろの若者は困ったものだ」。どうしたって、そういう話になりがちだ。

だが、データを良く見ると、あることに気が付く。「3年以内離職率3割」という数字は、平成8年から23年までほぼ一貫して続いているのだ(21年は28・8%)。こうなると、辞めていく若者だけを責めるわけにはいかないだろう。15年間も若手社員にソッポを向かれ続けている企業側にも、なんらかの責任、問題があるとみた方が自然ではないか。さらにいえば、この問題に対処するノウハウを企業側は作ることができなかった。結局は、双方のミスマッチということだろうか。
労働問題、雇用問題の専門家ではないので、これ以上の論評は避けるが、これがフレッシュマンを取り巻く日本社会の、この15年ほどの実態であるということだ。

 

■ コンビニでアルバイトをしながら作品を発表し続けている著名作家

高度成長を支えた日本企業の不変のモデルが「終身雇用」「年功序列」だった。それが音を立てて崩れていき、少子高齢化社会の進行で先が見えない世の中になっている。国の明確なビジョンも見えてこない。そうした状況で、若者たちに安易に「勝手に辞めるな」とは言えないと思う。社会の満足なセーフティーガードもない中で、就職とか、労働への関わり方といった問題は、個人の生き方、考え方次第である。もっと多彩、多様になっていくだろう。

そんなことを考えていた時、コンビニでアルバイトをしながら、作家活動を続けている女性作家の存在を知った。著名な賞も受賞されている方である。その方が、コンビニの仕事や同僚について、新聞紙上で「一見、単調なようでも、個性をいかして働いている」「誰にでも変わりがすぐできるわけではありません」などと語っていた。

コンビニでの仕事に誇りとやりがいを持っていらっしゃるとお見受けした。同僚やお客さんとの触れあいや会話が、創作活動の一助になっているのかもしれない。あるいは二つの世界に身を置くことが、心身の切り替えになっているのだろうか。こうした生き方もあるのだ。

時代は常に移ろう。その時代をどう生きるかは、個人の考え方、信念しだいである。最初の就職先でサラリーマン人生を全うするのもよし、いったん下船して次の船を選ぶのもよし。日本を飛び出していく若者が増えるかもしれない。

フレッシュマンのみなさんには、自分の信念、意思を大切にして、夢の実現に向かって一歩一歩進んでいってほしい。疲れたら、コンビニに立ち寄って、温かいコーヒーを飲んでひと休みすればいい。

 

蓼山 陵