ローソン広報 Smile Blog ~ほっとな情報でみんなの毎日を元気に~

※記事中の価格表記は記事掲載時の税込価格となっております。2014年4月1日以降は、新税率8%に基づく税込価格となります。

2014年10月31日

カテゴリー: 蓼山 陵さん 「コンビニ探訪社会学」

超高齢化・介護社会とコンビニ(下)

 

介護が必要になった原因のトップは「脳血管疾患」

 超高齢化社会に向けて進む日本。一方で少子化にも歯止めがかからないから、いわゆる現役世代の比率はどんどん落ち込み、その負担は増していくばかりだ。ここで、日本社会全体が、社会保障の問題に正面から取り組んでいかないと、10年後、20年後、このコラムを読んでいただいている方たちを取り巻く環境は、想像を絶するものになってしまう。 国民の多くが望んでいない「戦争に向かう国づくり」に突き進んでいる場合ではないのである。

 前回、介護サービス受給者が急増する分岐点が75歳であることに触れた。介護が必要になる主な原因は何なのだろうか。厚労省の「国民生活基礎調査」(2010年)をみてみよう。「要介護者等の性別にみた介護が必要になった主な原因」という項目がある。その内訳は次の通り。

<1>  脳血管疾患(脳卒中)   21.6%
<2> 認知症 15.3%
<3> 高齢による衰弱 13.7%
<4> 関節疾患 10.9%
<5> 骨折・転倒 10.2%
<6> 心疾患(心臓病) 3.9%
<7> その他・不明・不詳 24.5%


 いま、大きな社会問題となっている認知症よりも、脳卒中の方がはるかに多いのである。このほか、骨折・転倒や心臓病など、栄養バランスの摂れた規則正しい食生活や適度な運動を行うことで、未然に防ぐことができるような原因が多いことが分かる。これは、大きなヒントになりそうだ。

 

 

介護が必要になる手前で食い止める「未病・健康維持」が必要

 ちょっと、話が硬くなったので身近な例をあげて考えみたい。筆者の周囲に今年80歳になる女性が2人いる。Aさん、Bさんとしておこう。ふたりは小学校時代からの仲良しで、いまだに交流がある。

 Aさんは、結婚後、ご自身で起業して家族と事業を行ってきた。付き合いも多く、食事は外食がほとんど。仕事が忙しく、運動らしい運動はしてこなかった。

 Bさんは、結婚前は大手企業に勤めていたが、結婚後は専業主婦に。食事は自宅で家族と家庭料理がほとんどだった。40代半ばから山歩きを楽しむようになり、毎月、仲間といろんな山に出掛けていた。最近でも、2、3カ月に1回は手ごろな山に行くという。

 その2人の近況は好対照だ。夫を亡くし、独り暮らしのAさんは5年ほど前から、足腰がめっきり弱くなり、転びやすくなった。いまでは杖なしでは近所のコンビニにも行けない。認知症の兆候はない。Bさんは、夫と2人暮らし。糖尿病の夫の面倒を見ながら、毎日のように外出している。耳が若干、聞こえにくくなったぐらいで、病気とは無縁だ。

 単純に判断することはできないが、この2人のケースを比べてみると、食事と運動に大きな違いがあることが分かる。外食と家庭料理、デスクワークと山歩き。まさに「チリも積もれば」である。2人とも結婚は20代だから、その後の50年間の生活習慣の違いが、現在のカラダの状態にあらわれているのだろう。

 生活習慣病に関しては、福岡県内の自治体の住民を対象にした疫学調査である九州大学の「久山研究」をはじめ、長年にわたる住民の生活実態調査を踏まえた研究(前向きコホート研究)が行われている。こうした調査、研究に国や自治体がもっと積極的に助成を行い、それらを活かした、効果的な食生活・運動モデルを掲げて、介護を未然に防ぐ社会をつくっていけないだろうか。

 

 

■ さあ、コンビニの出番だ

 超高齢化社会、介護社会への取り組みは、基本的には国の責務である。あらゆる行政サービスを通じて、国民の健康的な生活を保障していくべきである。だが、現実は、理想には程遠い。民間も含めた社会全体で知恵を絞っていかないと、手遅れになってしまう。

 最近、こんな報道があった。

「政府は、人口減が進む地域の「買い物難民」対策として、高齢者らの自宅に食材や日用品などを届ける新たな宅配サービスを始める。(中略)政府は来年度から全国5か所程度でモデル事業を始め、運営方法などを検証したうえで、2016年度以降、全国各地で行いたい考えだ」(読売新聞8月23日配信)

 廃業したスーパーやガソリンスタンドなどの跡地に集配拠点を設け、NPOや物流業者に運営、配送を委託するというものだ。

 何を今さら、と思ってしまった。しかも、本格的な実施は2年近く先のことである。すでに、コンビニやスーパーは、「買い物難民」を視野に宅配サービスに力を入れているではないか。それに、こうしたサービスは、国というよりは、地域住民の生活実態を把握している自治体が本来行うべきではないのか。やはり、行政に多くは期待できそうにない。

 その点、未病・健康維持に向けた取り組みを強化しているローソンの今後の展開が注目される。ポイントはいくつかあると思う。

 今後は介護施設や老人ホームに併設した店舗も出てくるだろう。商品の提供だけでなく「介護コンビニ」の報道にもあったような、高齢者の交流スペース、運動機会の提供は絶対に需要があると思う。


 要は介護を必要とする人を、この先一人でも減らしていく社会をつくっていくことが重要なのである。そのためにも、利用者にとって最も身近な存在であり、そのニーズをつかみ取る能力のあるコンビニ業界が、もっともっと知恵を絞り、力を発揮してほしい。

 

蓼山 陵