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2014年10月13日

カテゴリー: 蓼山 陵さん 「コンビニ探訪社会学」

冷え続ける消費、値上げラッシュの逆風をどう乗り越えるか

 

消費税増税後の落ち込みが止まらない

 金木犀の香りから紅葉へ。落ち着いた気分で日々を過ごすことができる快適な秋が深まっているが、小売業界には逆風が吹き荒れている。
 
 4月の消費税増税後の個人消費の落ち込みが止まらない。今年4-6月期の個人消費は前期比マイナス5.1%と大幅減だった。ある証券会社は、消費税増税前の駆け込み需要で3.1兆円増えた個人消費は、増税後は一転して7.6兆円減少したと試算している。8月の消費支出は前年同月比で4.7%減(総務省家計調査)。5カ月連続の減少だ。

 個人消費は国内総生産(GDP)の6割を占める大動脈。その異変が重篤化しているのだから深刻だ。アベノミクスでデフレ脱却を掲げ、強気の姿勢を貫いてきた政府も、ここへきて慎重姿勢になっている。

 内閣府は4-6月期の実質GDP成長率を、前期比年6.8%減から7.1%減へと下方修正した。これは東日本大震災があった2009年1-3月期の6.9%減を上回る落ち込みである。9月の月例経済報告では、景気の基調判断を5カ月ぶりに下方修正し、「このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」に変更した。 

 爽やかな秋晴れとは程遠い、寒々とした荒れ模様の経済天気が続いているのだ。

akibare

 

 

実質賃金は減少、そこへ値上げラッシュが襲来

 消費税増税後の個人消費の落ち込みは、実施前から予想されていたこと。実施前の駆け込み需要の反動に加え、個人の消費意欲が減退し、財布のヒモがかたくなるからだ。4-6月期の数値は、そうした事前の予想を上回る落ち込み幅になってしまったのだろうが、その原因のひとつに実質賃金の低下がある点も見逃せない。

 厚生労働省によると、7月の現金給与総額は36万9846円で、前年同月比2.6%増。これは1997年1月以来、最大の上昇率だという。しかし、手放しでは喜べない。7月の生鮮品を除く小売価格が前年同期比で3.3%上昇しているため、調整後の「実質賃金指数」は、1.4%の減少となったのである。

 さらに「上昇の要因は自動車をはじめとする製造業大手のボーナス上昇が寄与した面が大きい。この動きが中小以下の企業にまで広がらない限り、楽観はできない」(経済ジャーナリスト)という見方も根強い。

 8月の現金給与総額は前年同月比1.4%増だったが、物価変動の影響を加味した実質賃金指数は前年同月比で2.6%
減と、なんと14カ月連続の減少となった。

 懸念材料はまだある。この秋の値上げラッシュだ。円安による原材料費の上昇、人件費の上昇などで、乳製品、コーヒー製品、カップ麺から自動車損保保険料、厚生年金保険料まで、さまざまな分野で日常生活のコストがアップする。

 ただでさえ苦しい家計は、一段と厳しさを増す。そこへ来年10月からの消費税再増税(8%から10%に)がテーマとなってくる。増税実施か見送りかの判断は12月になるというが、もし実施となれば、個人消費はさらに冷え込み、景気が下降局面に突入するのは避けられないだろう。

momiji

 

 

■ 漸減状況に歯止めをかけられるのか

 個人消費の冷え込みは、小売業界を直撃している。スーパーとコンビニエンスストアの8月の売上高は、いずれも前年同期を下回った。スーパーは1兆974億円と既存店ベースで前年同月比0.1%減。コンビニは7963億円で、既存店ベースで前年同月比2.4%減だった。天候不順による夏向け商品の販売が振るわなかったというが、消費税増税後の消費者心理の冷え込みも一因となっているのではないか。両業界とも、4月から5カ月連続で売上高が減少しているのだ。一時的な季節要因だけとは思えない。

 この逆風をどうやって乗り切っていくか。小売業界各社の経営判断、経営手腕が問われるところである。他社との差別化を鮮明にして顧客の囲い込みに走るのか、従来のビジネスモデルを見直して斬新なモデルを構築するのか、M&Aによる規模拡大、集約化の道を選ぶのか、まさに知恵の絞りどころである。

 そうした中、業界全体で取り組むテーマはないだろうか。12月の消費税再増税の決定時期に向け、なんらかのアクションは起こせないものだろうか。1980年代後半、中曽根内閣時代に売上税構想が浮上した。これに対し、各界から反対の声が上がった。小売業界からは、あるスーパーのトップが反対運動の先頭に立って、消費者の声を汲み上げたものである。

 さらなる増税が小売業界に何をもたらすのか。利用客にどんな影響を与えるのか。小売業界のリーダーのみなさんには、個々の経営判断だけでなく、業界全体、利用客全体の幸福を追求するような、将来を見据えたアクションを期待したい。

 

蓼山 陵