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2014年8月26日

カテゴリー: 蓼山 陵さん 「コンビニ探訪社会学」

農業再生・活性化とコンビニの役割<後編>

 

魅力ある仕事としての農業に気づき始めた若者

 前回、この数年、農業への「新規参入者」が増加傾向にあることに触れた。ここはポイントだと思う。これまで、キツイ、安定収入が得られない、古臭いとみられていた農業に対する見方が変わってきているのだと思う。旧来の発想ではなく、消費者ニーズに応じた作物を作り、独自の流通ルートを開拓することで、収入が増え、つくる楽しみ、喜びを見出すことができる。そうした農業の魅力に気がついた人たちが増えているのではないか。

 京都に「マイファーム」という会社がある。京大農学部を卒業した西辻一真氏が20代で設立した会社で、「耕作放棄地の再生・収益化事業」、「レンタルファームコンサルティング」「農業教育・リーダー育成事業」「農業ビジネスコンサルティング」などを手掛けている。農業分野のソーシャルビジネスとして注目を集めている会社だ。地方の荒れた耕作放棄地を地元の人々と協力し、再生を図り収益の出るモデルに変えていく。そんな姿勢にひかれ、いろんな人材が同社の面接に訪れるようになったという。

 「東大、東北大、北大など、おかしいくらい優秀な人が面接に来るようになった」「何に幸せを感じるのか? 社会的課題を解決することなんです。こういう人たちが増えると、日本は変わっていくと思う」(東洋経済オンライン 2013年7月19日号)

 一部の若者たちは気づいているのである。荒れた土地を耕し、地元の利益になる形で農業ビジネスを構築していく。その連鎖が、日本農業の再生と活性化につながるということに。私利私欲だけでない、社会性をもったビジネスモデルをつくりあげていく。そうすれば生産者もコンサル企業も潤い、ひいては地域の活性化、新たな農業ビジネスの確立につながっていくはずである。

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集約化だけでなく、その先の展開と展望が課題

 農業再生、活性化議論で必ず出てくるのが「農地の集約化」である。もちろん、猫の額みたいな農地で作物を作っているだけでは、生産性は上がらないし大きな収益は見込めない。だからといって、大企業の参入を促して一律に集約化すれば、それでバラ色の展開になるのだろうか。大量生産、大量消費のサイクルになってしまえば、必然的に価格競争が起き、消耗するだけである。

 では、何が必要か。それはある程度集約化された農地で、何をどう作るかがポイントになるのではないか。その地域の土壌、気象状況などの特性にマッチした作物づくりを強化し、独自性を打ち出していくのである。先日、テレビ番組が「万願寺とうがらし」を紹介していた。舞鶴の名産品である。大正末期に伏見とうがらしと外国産とうがらしの交配種として誕生し、長い間、地元の自家用野菜として消費されてきたという。昭和58年からJAが販売を始め、平成元年には「京のブランド産品」第1号に認証されたのである。いまでは京野菜を代表する存在となっている。

 米にしたって同じである。寒冷地の北海道でつくられる米の評価は長い間低かった。

 30年ほど前の北海道米は「やっかいどう米」と揶揄されていたという。ずいぶんひどい話である。それが、農業関係者の熱意で品種改良が重ねられ、いまでは「ゆめぴりか」「ななつぼし」が日本穀物検定協会の「米の食味ランキング」で「特A」を獲得するようになり、全国区の人気を誇るようになった。

 耕作放棄地を集約化する。その後の展望をどう描くのか。集約化された農地で、どういった土づくり行い、地域の特性に合った高付加価値の作物を作るのか。こうした課題を議論し、協力して生産に向かえば、その後の展開は大きく変わって来るはずだ。国内消費(内需)ばかりでなく輸出まで視野に入って来ると思う。そういう意味では、これからの農業は、取り組み方次第では無限の可能性を秘めていると思う。そこに国の農政がどう関わっていくのか。これも大きな課題である。

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これからの農業ビジネスとコンビニの関わり

 歴史的な転換期を迎えようとしている日本の農業ビジネス。コンビニはどう関わっていくのだろうか。先日、「ローソンが新潟市特区でコメ生産 年内めどに農業法人設立」というニュースが報じられた。ローソンが年内をめどに地元農家と農業生産法人を設立し、ローソンの店舗で販売するコメを生産・加工するというのだ。

 ローソンはいち早く生鮮強化に取り組み、全国各地にローソンファームを展開、中嶋農法による野菜作りを採り入れるなど、食の安心・安全にこだわってきた。米の生産もその一環なのだろう。

 今後、こうした動きがますます活発化していくはずだ。その流れの中で、いくつかポイントがある。その最たるものは「安心で安全な作物づくり」だ。中国の工場でつくられた鶏肉加工品の一件で、消費者の食への不信感が強まっている。いったい、いつまで繰り返されるのかという思いである。それだけに、コンビニ業界が自ら農作物の生産現場に関わり、土壌改良から生産、流通までの行程すべてにチェックを入れていく態勢が整っていけば、安心感は高まるはずだ。

 「地域の活性化への貢献」も欠かせない。コンビニは社会インフラとしての存在感を今後ますます強めていく。そうした中で、農業ビジネスへの関与を通じて地元農家との協力はもちろん、雇用創出、地元産品を使った商品開発、利益還元などさまざまな形で、その地域の活性化に寄与していくべきだ。コンビニ業界のマーケットリサーチ力を駆使して、消費者ニーズを的確にくみ上げ、それを農産物などの生産に反映させていく。そんな形が取れればいいと思う。

 もはやコンビニは商品やサービスを販売、提供するだけの存在ではない。「安心・安全」「地域活性化」をキーワードに、日本農業の改革の一翼を担う存在になっていってほしいものである。

 

蓼山 陵