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2014年6月17日

カテゴリー: 蓼山 陵さん 「コンビニ探訪社会学」

コンビニの国際化 3つの課題

多様化する利用客への対応は? アジア以外の海外展開はどうなる?

 

■ 急増する訪日外国人旅行者がコンビニの新たなユーザーに

 都心を歩いていると外国人の姿が一段と増えたように感じる。ルイ・ヴィトン、シャネルと いった超高級ブランドと、ユニクロをはじめとするカジュアルショップが混在する銀座。アジア系、欧米系などさまざまな地域からの団体客、家族連れ、カップ ルがショッピング袋を手に銀ブラを楽しんでいる。六本木ヒルズや溜池山王界隈では、外国人ビジネスマンの姿が多い。そして大学のキャンパスには世界各地か らの留学生たち。

 昨年1年間に日本を訪れた外国人旅行者がついに1000万人を突破した。(もっとも、フランスには年間8000万人超の外国人旅行者が訪れているから、 観光政策面ではまだまだである)。政府は2020年の東京五輪開催を追い風に、年間2000万人の達成を目指しているという。目標通りに進めば、今の2倍 の外国人たちが日本国内を巡り歩くことになる。

 当然、外国人観光客たちのコンビニ利用の機会も増えるだろう。外国人ユーザーにも対応できるサービス力が求められることになる。ネット上にはコンビニを 利用した外国人たちの反応が書き込まれている。多くは品揃えの豊富さ、店内調理を含めたおにぎり、惣菜、弁当などのおいしさへの絶賛、24時間営業、公共 料金の支払いなど多様なサービスへの驚きなどで埋め尽くされている。

 日本を訪れる外国人たちのすべての国でコンビニが展開されているわけではない。コンビニの存在はあっても、日本のようなきめ細かなサービス、多彩な商品 陳列はほとんどないのが現状である。そんな環境から来た人々にとって、日本のコンビニはまさに「アメイジング・ワールド」なのだろう。逆に言うと、慣れて いない彼らにとって、言葉の壁に加え、サービスの受け方もわからないことが多い。ある外国人留学生は「レジの横にあるおでんを注文したいが、セルフサービ スなのかスタッフが取ってくれるのか分からないので、結局、おにぎりにしてしまう」と投稿していた。簡単な英語でいいから、一言、声を掛けてあげられるか どうか。国によっては食べられない食材もある。店内で売っている惣菜をはじめとする食品類に、その食材が使われているかどうか。そんな説明が必要なシーン も増えてきそうだ。

 多様な国からの客にきちんと対応できるかどうか。今後、店舗スタッフの対応力強化が必要になってくるのは間違いない。

 

■ 外国人社員の採用とキャリアアップ

 日本のコンビニで働く外国人が増えている。一般的なのは留学生などが店舗スタッフとして働いているシーンだ。アジア系の若い人たちが日本語で「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」ときびきびと働いている光景に出くわすと、つい応援したくなってしまう。
 

 一方、本部が社員として外国人を採用する動きも当たり前になってきた。ローソンでは今年 4月に27人の外国人が入社。ダイバーシティ推進の取り組みの一環として2008年から新卒の30%に、中国、韓国、ベトナム、マレーシア、インドネシア などアジア系の外国籍社員を採用し、これまでの累計は183人になっている。彼らの待遇は日本人社員とまったく同じ。今では全外国籍社員の約4分の1が SV(スーパーバイザー)やASV(アシスタントスーパーバイザー)となって活躍中だ。他のコンビニチェーンも外国人社員の採用に積極的になった。
 
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 彼らには、今後の成長戦略の柱である海外展開にあたって、現地のニーズを的確に把握し、 日本独自のコンビニ文化・サービス、FCビジネスを展開していくリーダーとしての存在になっていくことが期待されている。文化、事業の橋渡し役である。こ れはコンビニだけの話ではない。メーカー、金融、レジャーなど海外展開を志向するあらゆる業態において、現地の事情に精通し、なおかつ日本企業の文化を体 現、伝播できる外国人社員の育成は急務となっている。外国人社員は海外展開を進めるうえでのキーパーソンといえる存在なのである。

 一方、育った環境も文化も違う外国人社員の発想、意見は日本人社員に刺激を与える存在でもある。日本的な思考、嗜好、行動様式と異なる文化が入ってくる ことで、社内の意識の国際化とでもいうべきことが進むのではないか。広範なサービスを提供するコンビニという業態にとっては、貴重な体験となるはずだ。

今後も増え続けるだろう外国人社員。その採用からキャリアアップにいたるシステムづくりが、より重要となってくる。

 

■ アジア諸国から北米へと広がる海外展開の可能性

 これまでコンビニ各社はアジア諸国への展開を繰り広げてきた。中国、韓国、タイ、ベトナ ム、インドネシアなど。筆者も上海やホーチミンで日系のコンビニを訪れ、利用したことがある。日本並みまではいかないものの、品揃え、サービスともに満足 できるものだった。日本で独自の進化を遂げてきたコンビニ文化がアジア諸国に広がっていることを実感したものである。

 少子高齢化が進む中、パイが縮小していく国内では、サービスのさ
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らなる質的変化と進化が求められる。一方で、収益面を考えると海外市場への積極果敢な展 開が避けられないのは自明のことである。その展開先の中心はやはりアジアだろう。各社がアジア系を中心に外国人社員を積極的に採用しているのも、その布石 である。

 従来の中国、韓国など以外にインド、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピンといった経済成長が続く国々の市場は魅力的である。証券取引所を開設する動きが出てきたミャンマーもやがては候補地になってくるだろう。

 ただ、あるコンビニチェーンが韓国から撤退を決めたことからも分かるように、社会風土、商慣習の違う他国でのビジネス展開は思わぬリスクがつきまとう。 日本的なサービスがすんなりと受け入れられるとは限らない。日本的なビジネス慣習も通用しないシーンが多々ある。そうした弊害を乗り越えるためには、現地 採用のローカルスタッフの活用が重要になってくる。その潤滑油となり、指導役となるのが日本で研修を受け、日本のコンビニ事情をすみずみまで把握した外国 人社員たちだろう。いま、国内で活躍している外国人社員たちが、やがて祖国に新たなコンビニ文化を広げてくれるはずだ。

IMG_6627_800-533  海外展開でもうひとつの可能性は、コンビニ発祥の地・アメリカへの逆進出である。現在の 北米地域でのコンビニはガソリンスタンドに併設されている店舗が 多く、市街地の店舗はドリンク類がセルフサービスとなっているなど、日本のコンビニとは随分サービスが異なる。「ある程度は便利な存在だが、日本のような きめ細かなサービスはないし、商品の多彩さも日本には到底かなわない」(米国駐在経験のあるジャーナリスト)という。それだけに、ビジネスチャンスは
多分にあるはずだ。ローソンも、記者会見で北米進出の可能性に言及していた。アメリカ生まれのコンビニが、日本で進化して再びアメリカに。ヘルシー志向を中心 にした店舗サービスを展開すれば、新たな可能性が広がってくると思う。

 

蓼山 陵