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2013年9月17日

カテゴリー: 蓼山 陵さん 「コンビニ探訪社会学」

海外のコンビニ店舗でニッポンの本物の味をアピール

~高品質の農水産物、故郷の逸品が握る国際交流の可能性~

 

◆増え続ける外国人観光客とニーズに応えられていない現実

 日本を訪れる外国人観光客が増えている。今年上半期の訪日外国人は495万人。前年同期比で23%増となった。政府は訪日外国人を2016年に1800万人、20年に2500万人に増やす目標を掲げている。年間1000万人達成がようやく視野に入ってきた状況である。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が決まったこともあり、日本を訪れる外国人は確実に増え続けるだろう。東京・秋葉原、京都、箱根、富士山、日光、北海道。どこへ行っても外国人観光客の姿が目に付く。この夏、仕事で小樽を訪れたが、有名な運河の前には中国、台湾、韓国、香港などアジア人観光客が群れをなし、記念撮影をしていた。地元の喫茶店の店主に聞くと「20年前まではロシア人が多かったけど、最近はアジアの方が大半だね」とのことだった。

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 ちなみに北海道を例に挙げると、訪日外国人宿泊客数(2011年度)のトップは台湾で約52万人。2位以下は香港(32万人)、韓国(30万人)、中国(27万人)、シンガポール(16万人)とアジアが上位を独占。その他ではオーストラリア(3万9000人)、米国(2万7000人)などとなっている。北海道の大自然、海の幸、大地の恵みを求めてアジア諸国から多くの観光客が来ているのである。

 アジア客の多くは団体旅行で、大型観光バスで移動し、ホテルで北海道の幸を味わい、温泉でくつろいで楽しんでいく。北海道のテレビ局のニュースで見たが、彼らは一様にカニやウニ、いくら、鮭など北海道の食を絶賛する。しかし、土産となると別。生鮮品や冷凍品はキャリーでは持ち帰りにくいうえ、冷凍、冷蔵の土産品を配送するサービスがない。コンテナ輸送だと輸送コストが高い。そうしたことから敬遠されてしまうというのだ。


 そこで、北海道開発局は道産品輸出促進策を進める中で、輸送費込みの土産品セットの提案など、新たな取り組みを始めている。ニーズがあるのにサービスが追い付いていない。その現状を変えようというのだ。この取り組みは、海外展開を加速させているコンビニ業界にとっても大きなアイデアにつながるはずだ。

 

◆海外の顧客も在住邦人も喜ぶ「日本の味フェア」の開催

 そこで提案である。アジア各国やハワイなどに展開するコンビニ店舗では現在、おにぎりやおでんといった日本の味が「定番商品」として販売され、多くの支持を集めている。それだけではもったいない。海外のコンビニ店舗は、日常品の販売や通常のサービス提供の場だけではなく、日本の文化を紹介するアンテナショップでもある。だからこそ、もっと積極的に日本の味を提供する機会を増やすのである。

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 たとえば月に1回、「ふるさとフェア」を実施する。東北の復興支援の一環として、岩手、宮城、福島など被災地を中心とした地域の特産品、名産品を店頭に並べ10日間ほどキャンペーンを展開するのである。岩手のいちご煮、前沢牛、小岩井農場の乳製品、宮城の笹かまぼこ、ずんだ餅、気仙沼フカヒレ、福島の桃、喜多方ラーメンなど、まずは代表的な食材、商品を集めてみてはどうか。あわせて各地の自然や名所を紹介するDVDを放映。店舗に一歩入った途端、東北に滞在しているかのような疑似体験のスペースにする。日本を訪れたことのある現地の人は懐かしさを覚えるだろうし、初めての人は新鮮な感覚を味わうことだろう。

 ふるさとフェアは急増している海外の日本人駐在員やその家族の方々にとっても、うれしいイベントになるはずだ。昨年家族4人で赴任したホーチミン在住の友人は、「日本食レストランも多いので困ってはいないけど、たまに故郷の味が欲しくなる」と言っていた。日本の地方独自の食文化をアジアのコンビニ店舗から発信する。人気商品はネットで取り寄せが出来るようにすればいい。アジア諸国でも健康志向は強く、日本の食材への関心は高い。故郷フェアを皮切りに、高品質の日本の農水産品をどんどん提供し、味わってもらう。その最先端スポットになるチャンスを生かさない手はない。

 

◆国内農水産業の活性化や訪日観光客の増加にも寄与

 一連の取り組みを実施、継続していけば効果は確実に広がっていくはずだ。一時的な歓迎、満足感だけでなく、日本の食材を体験することによって、現地の人たちに改めて日本に対する興味を抱いてもらえれば、訪日観光客の増加につながる可能性が出てくる。故郷の味、地方の食材に対するニーズが高まれば、国内の生産者たちのモチベーションが高まり、生産量の増加にもつながる。日本国内の農水産業、観光業の活性化をもたらす可能性を秘めているのだ。

 コンビニは単にモノを売るだけのスペースではない。優れた日本の食文化(もちろん食だけではないが)の紹介、販売、サービスを通じてニッポンを海外にアピールする拠点である。「マチのほっとステーション」は「国際交流のほっとステーション」にも「日本活性化のほっとステーション」にもなりうる存在ではないだろうか。

 

蓼山 陵