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2013年7月 2日

カテゴリー: 蓼山 陵さん 「コンビニ探訪社会学」

疲弊する地方とコンビニの役割

 

◆真夜中でも若者、観光客でにぎやかなススキノのコンビニショップ

 6月上旬、仕事で北海道に1週間ほど滞在した。札幌ではちょうど「よさこいソーラン祭り」が開催中で、全国からの参加者と観光客で日中はもちろん、ススキノは深夜までにぎやかだった。通りに面したコンビニは真夜中にも関わらず、若者や観光客でいっぱいだ。観光客が多い土地柄とだけあって、雑誌棚にはさまざまな道内ガイドマップが並ぶ。スナックのコーナーには、土産で有名な製菓メーカーの菓子が「ホテルで食べて」と訴えてくる。真夜中だというのに惣菜類も充実している。眠らない街なんだな、きっと。「ゆめぴりか」「ななつぼし」という今では全国的な人気を誇る道内米も販売されている。ローカル色豊かで楽しくなってくる。 1susukino250


 札幌の繁華街のコンビニはどこも多くの客が訪れていたが、一歩、札幌を離れると事情は変わってくる。札幌からクルマで1時間ほどのところにある 太平洋に面した小さな町の知人の別荘を訪ねたときのことである。丘の上にある別荘の近くには商店は何もない。もっとも近いコンビニがクルマで10分。全国 チェーンではないローカルのコンビニだったが、いつしか大手の看板がかかっていた。ビールやたばこを切らした時は重宝だ。この店、朝、昼、夜、いつ行って もレジで並ぶということはまずない。それでもこの町に通い始めて15年以上、看板は変わったが営業を続けているのだから、地元のお客さんのニーズは高いも のがあるのだろう。店内は、通常の商品に加え、地場で収穫された野菜がレジの近くに並べられている。そしてコメの棚には「配送します」の張り紙。高齢者向 けのサービスだろうか。国道に面したローソンの店舗は24時間営業。漁港関係者が多いから、夜中、早朝もニーズがあるのだろう。今年は、大手ビール会社の 直営ビール園とのコラボ商品(ジンギスカン丼、ジンギスカン焼きうどんなど)を販売中だ。繁華街の店、地方の店、それぞれ店内の雰囲気は違うが、旅先で訪 れるコンビニの商品、サービスにはやはり新しい発見があって楽しいものである。
 

 

◆地方でも進む一極集中 小さな町は過疎化と高齢化が進む一方

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 そうはいっても、たまに訪れて「地方のコンビニは面白い」なんてあまり無責任なことは言っていられない。札幌のような大都市はいざ知らず、人口1万、2万といった小さな町のコンビニは、集客数に限度があるから営業的にはなかなか厳しいものがあるだろう。実際、先ほどの太平洋岸の小さな町は、工場がある大手製紙会社の経営が順風だったころは、駅前の商店街も多くの店が営業していたが、この数年、製紙業界の再編、低迷の影響を受けたのか、郊外の大型店に客を奪われたのか、シャッターを下ろした店が少なくない。その商店街の中でコンビニだけは24時間、営業を続けている。国道沿いのコンビニも同様だ。

よく頑張っていると思う。

 北海道在住の経営者がこんなことを言っていた。
「道内の人口は減っているのに、札幌の人口だけは確実に増えている。これでは農村や漁村は取り残される一方だ」
 実際、10年前(2003年)の北海道の人口は570万人(総務省住民基本台帳)で、札幌市の人口は184万人だった。それが2013年になると北海道全体では544万人と26万人減少した。ところが札幌市の人口は191万人と逆に7万人増加しているのだ。少子高齢化が進む中、東京への一極集中が止まらないのと同様、人口減が続く北海道でも札幌への一極集中が進んでいるのだ。
 こうした状況下で、コンビニの存在意義、価値はますます高くなっていく。過疎化が進み、商店が営業をやめ、高齢者が気軽に買い物に行ける店が減り続ける中、コンビニは通常の買い物だけでなく防災を始め社会インフラとしても文字通り『生命線』といえる存在になってきているといえよう。


 

大自然に恵まれたローカルならではのサービスは展開できないか

 疲弊する地方にあってコンビニが担う社会的、経済的な役割はますます大きくなっていく。商品、サービス提供、雇用創出、防災拠点、そして今後一段とニーズが高まる健康志向に応える「マチのほっとステーション」としての機能。
本部と現場が一体となった取り組みが期待されるところである。

 ちょっと話がカタくなってしまった。いささか現実離れしているかもしれないが、地方のコンビニならではのサービスについて触れてみたい。ひとつはオリジナル農場を併設した店舗を運営できないだろうか。じゃがいも、タマネギ、アスパラガス、かぼちゃ、とうもろこし…。広い北海道は、街を離れるとどこへ行っても広い畑が、どこまでも続いている。最近のコンビニは健康志向の高まりを受け、どこも生鮮野菜を強化している。だったら、その生産地にオリジナル農場をつくり、その脇に大きな店を構えてはどうか。農場の一部で体験収穫や見学を行い、その帰りに店によって生鮮野菜を購入する。あるいは収穫したての野菜などをふんだんに使った料理を楽しむ。エリアごとにこうした店舗を設置すれば、新たな観光コースとなり地元の方の雇用にもつながるのではないか。 2uma250

 漁港の近くなら、獲れたての魚介類を使った弁当や総菜を販売したり、イートイン・コーナーで新鮮な「ウニ丼」「イクラ丼」を味わってもらう。もちろん、地元の関係者との調整は必要だろうが、せっかく地場でおいしいものが獲れているのである。それを活用しない手はないだろう。
 北海道に限らず、産直型店舗、体験型店舗はどこの地方でも可能ではないか。そんな実験的な試みを通じて、全国でヒットするような新商品が生み出されるかもしれない。地方ならではの特性をフルに生かしたサービスの提供は、確実に人々の心をつかむと思う。

             蓼山 陵