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2013年5月 1日

カテゴリー: 蓼山 陵さん 「コンビニ探訪社会学」

これからが勝負! コンビニの海外進出はどこまで拡大するか

◆ 高層ビルがそびえる街で野菜、魚を市場で買い求めるベトナム市民

 大通りにモーターバイクが波のように押し寄せ、けたたましいクラクションと物売りの声が響き渡る。朝から喧騒に包まれるベトナム・ホーチミン。日中の気温は軽く30度を超す。

1vietnam 150  4月中旬、久しぶりにこの活気あふれる街を訪れた。来るたびに少しずつ行き交う自動車の数 が増え、高級車もちらほら目につくようになった。一度だけだが、 ポルシェがガソリンスタンドに入っていくのを見かけた。高層ビルも増え、あちこちで建設ラッシュが 続く。メーンストリートにはシャネル、ディオールといっ た高級ブランドのショップが構える。それも当然だ。GDP成長率が毎年5%を超え、国民1人当たりの購買力平価換算のGDPは約3,500ドルと20年前 の3倍以上に急増。ベトナムは、いまではBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国)に続く成長国VIP(ベトナム、インドネシア、フィリピン)と称されているのである。
ベトナム・ホーチミンの
高級ブランドショップ

 
 そんな急成長国でありながら、日常の生活シーンはあまり変わりがない。歩道ではおばちゃん たちが鍋で料理を作り、プラスチックの椅子に腰かけた男女がおい しそうに頬張っている。小さな屋台もあちこちに立ち並び、通勤途中の若い女性が名物のバイン・ミー・ティット(フランスパンにハムなどをはさんだもの)を 買い求めるシーンも。市内にいくつもある市場には、野菜や魚、肉、果物、花などを買い求める市民があふれ、クシャクシャのドン(紙幣)でお目当ての品を 買っていく。売られている食品は新鮮で、魚は飛び跳ねている。見ているだけで楽しくなる光景だ。 2vietnam 200
ベトナム・ホーチミンの街並み


 変わったといえば小売りの世界で、コンビニが目につくようになったことだろうか。地場の Shop & Go、香港資本のサークルK、日系のファミリーマート、ミニストップ。Shop&Goがもっとも早くでき、店舗数も多いようだが、品数やサービスは日本の コンビニには太刀打ちできない。日本食レストランが数多く立ち並び、さながら“日本人街”の様相をみせるレタイントン通りにある店舗では、生鮮野菜、味 噌、卵、生ラーメンまであり、日本人駐在員やその家族、観光客らが訪れていた。


◆ 中国にいち早く進出したローソンの紆余曲折と今後の展開

 コンビニの海外展開は1990年代に始まった。先陣を切ったのはローソンで、1996年に中国・上海に1号店「羅森 古北新区店」をオープンした。中国でのパイオニア的存在である。現地の国営企業との合弁でスタートしたものの、当 初は地場コンビニとの競合もあり苦難の連続だった。その後、1.出店先の多元化、1.
現地人材の積極登用とインセンティブ制度導入、3.米飯、ベーカ リー、総菜など差別化商品の製造を現地メーカーに変更、4.現地社員の徹底研修といった外科手術を断行し、2004年に初めて単年度黒字化を達成したので ある。

 こうした紆余曲折を経て現在は、上海に304店舗、内陸部の重慶に50店舗、東北部の大連に9店舗、合計363店舗を展開している。昨年9月には羅森投資有限公司を設立し、上海、重慶、大連の現地法人を傘下に収め、さらなる飛躍を図っている。

 

 筆者は2005年に当時の上海のローソンを取材したことがある。衛生管理が行き届いた弁当工場、ランチタイムにOLが列をなしていた森ビル内の店舗光景が懐かしい。店内に入ると店員が「歓迎 光臨(いらっしゃいませ)」と出迎える。日本式のサービスが行き届いていた。

 海外のローソンは、中国以外では現在、インドネシアに83店舗、タイに3店舗、そしてハワ イに2店舗ある。ちなみに、今回のベトナム旅行でたまたま知り合ったインドネシア女性は「ローソンは(ジャカルタでは)すっかりポピュラー。品質もサービ スもいいから愛用している」と好印象を持っている様子だった。

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タイにオープンしたローソン(2013年3月28日)


 現地での教育、研修はローソンからの出向者が指導者となり、現地語に翻訳した教習本で一括研修を行っている。今後の展開については、ASEANを中心に300~400店舗の展開を考えているという。


◆ 生活水準の向上でますます高まるアジア諸国でのコンビニ需要にどう応えるか

 いま、日本のコンビニはこぞってアジアを中心とする海外展開を加速させている。少子高齢化に伴う国内需要の頭打ち、減少という局面を打開するには成長著しいアジアに活路を見出さなければならない。これはメーカーだけでなく流通の世界も一緒だ。すでに「もうじき海外の店舗数が国内の店舗数(約5万店=主要14グループ)を上回る」なんて声も出ているほどだ。

 一方、新興国のBRICSに加え、最近注目を集めているVIPなど、経済成長の続く国々では、国民の所得水準、生活水準の向上に伴い、ライフスタイルが激変している。いまのホーチミンでは若者たちがWiFiのあるおしゃれなカフェでiPhoneを操っているシーンに遭遇する。市場で野菜を買い求める主婦がいる一方で、バイクでコンビニに立ち寄り、冷たいジュースを買う光景も日常的になってきているのである。

 当然、これから先、こうした新興国でコンビニのニーズが高まることは間違いない。問題は、どういう展開を行っていくかだ。コンビニ各社はこれまでの中国などでの経験に基づいたビジネスノウハウを持っているだろう。現地化、差別化、高品質、高サービスなど、それぞれの特性を生かして愛されるコンビニづくりを展開していくと思う。

 ひとつ提案したいのは、新しいマーケットに進出するのであれば、従来の海外展開モデルのとらわれず、大胆なサービスを打ち出してみてはどうか。国内では、環境配慮型店舗や太陽光発電による自家発電などを行う店舗が増えている。こうした最先端店舗をいきなりオープンさせて、未来志向を訴求する。あるいは店内の端末に日本の文化、ファッション、トレンドを紹介するコーナーを組み込み、現地の客にアクセスしてもらう。災害時の防災拠点としての機能もアピールする。

 ビジネスチャンスとしての海外展開だけでなく、コンビニの店舗が日本と新興国との懸け橋としての拠点となる。そんな展開ができたら素晴らしいと思う。


蓼山 陵