魅力ある国、日本へ!
09/18
第9回
なぜ政権交代が起きたのか
ついに「政権交代」が実現し、民主党政権が誕生しました。これまで自民党がやってきたことは、超大企業を支援することで輸出入を活発にし、それによって日本経済を浮揚させるというものでした。自民党と経団連(日本経済団体連合会)が一緒になって日本の経済力をつくりあげるという体制が、この何十年か続いてきました。それによって日本は敗戦からの復興を果たし、経済大国に成長したわけですから、その体制は国民にも富をもたらし大成功だったといっていいと思います。
しかし、そうした自民党がつくってきた体制に日本国民がついていけなくなりました。その結果が、民主党が大勝した8月30日の衆議院選挙だったわけです。なぜ国民がついていけなくなったのかといえば、グローバリズムを進めてきた自民党体制の綻びが顕著になってきたからにほかなりません。たとえば大企業は、"当然ながら"グローバリズムの競争に打ち勝つ為に人件費の安い中国などに生産拠点を移転させてきました。また国内人件費を抑え労働生産性を上げ、グローバル競争を戦ってきました。つまり、いわゆるコンセプト的に言えば「安い賃金」を、中国を中心とする国から輸入してしまったのです。
そのために、日本国民にとってグローバリズムが持ち込んだ「生活苦」が大きな問題になってきました。雇用は増えず、上がらない賃金で生活を守るためには、これまで以上に働かなくてはならなくなり、忙しくて自分自身のことを考えるだけで精一杯という状況になってしまったのです。他人のことも考えて互いに助け合うという農耕民族として日本人が培ってきた「美点」は急速に失われ、精神的にもギクシャクした、どうにも暮らしにくい社会になってしまいました。そうした状況に日本人は疑問を持ち、ついていけなくなった。そして自民党に「NO」をつきつけ、民主党を選択したのではないでしょうか?しかし、日本だけでこのグローバリズムを止めることはできません。むしろ日本は自由貿易体制の中、最もそれを享受した国です。
民主党政権に望むこと
政権交代が実現したわけですが、振り子が右から左へと極端に振れすぎないか私は若干心配しています。現状を変えようとすれば、必ず亀裂が起きます。その亀裂が大きいと、極端な方向に動きかねません。これまでの「自由主義」を変えようとしている亀裂が大きくなりすぎると、結果の平等となるような「社会主義」に流れかねないのではと。
日本にとって非常に大切なことは、あくまで自由主義のなかでの「機会の平等」を目指す姿勢を再構築することです。それを忘れて社会主義的な方向に極端に突き進んでしまえば、競争による創意工夫を行い、いいモノを作っていくといった、これまで培ってきた良い部分までも破壊しかねません。そうならないために、民主党政権になっても日本が大切にしなければならないのは自由主義のなかでの機会の平等を目指す姿勢です。それには確かに小泉さんは策を打たなかったと思います。しかし小泉さんの後任は規制緩和を続けながらも"ゆがみ"を治していくのが役割だったのではないでしょうか。英国のサッチャーさん以降のブレアさんのような"教育"への施策は必要であったと思います。"教育"こそが機会の均等の最重要な施策ではないでしょうか?
環境対応技術で日本の国際的地位向上を
自由主義といっても、「自由気ままにやっていい」ということではありません。日本における今回の政権交代は、ファンド資本主義に代表される「金儲け至上主義」への批判という世界的な潮流ともつながっています。(残念ながら国際的に金融業は反省をしていません!)自由気ままに金儲けだけやっていればいいという姿勢ではなく、自由主義にあっても「自らを律する」ことが必要だということです。
「自らを律する」ことで、いちばん考えなければいけないのが地球環境です。金儲けのために化石燃料を勝手気ままに消費して二酸化炭素(CO2)をまきちらす姿勢は、もはや許されなくなってきています。金儲けに挺進するのではなく、この泣いている地球を、自然豊かな地球として次の世代にきちんと引き継ぐことのほうが重要なわけです。それに、民主党は強い意志をもって取り組もうとしています。
民主党政権発足を目前にした9月7日に開かれた朝日新聞社主催の「朝日地球環境フォーラム2009」でオープニングスピーチを行った民主党の鳩山由紀夫代表は、「2020年までに日本のCO2排出量を25%削減する」と述べ、マスコミに大きくとりあげられました。もともと「25%削減」はマニフェストに盛り込まれていたものですが、民主党政権実現が確実になってから、鳩山代表が直接、口にしたことで改めて注目されたわけです。国際公約にもする様子です。
しかし私は、この「25%削減」を外交面で変に利用されないよう、気をつけるべきだと思いますが、詳細なプランが大切です。鳩山氏は「すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意が、我国の約束の前提」とも述べています。米国や中国、インドも含めた国際合意を前提とし、日本だけが突出した削減目標を負わない戦略だと思います。そうでないと日本だけが重い削減目標を抱えて産業の国際競争力を失うことになりかねないからです。また、その実現の為の基本的"ビジョン"を早く出して、経済産業省のある程度の合意も必要でしょう。「25%削減」という目標に向かって技術的なリーダーシップをとっていく努力を続けるなかで、必ず技術のブレイクスルーが起きてきます。これまでもLEDや電気自動車など環境対応の技術革新をやってきているので、高い目標を掲げることで、さらなるブレイクスルーを起こすことができるはずと信じています。そのためには、そういう努力をする企業に対して、民主党政権は減税や補助金などあらゆるバックアップをしなければいけません。
そうした技術をもつことが国家戦略において強力な力になってきます。現在の戦争は、石油など化石燃料の取り合いが大きな原因の一つになっています。その化石燃料に頼らない技術を提供することで、日本は世界の平和に貢献できる国になれるのです。軍隊をもたなくても、環境に優しい、圧倒的に強い技術をもつことで、日本は世界のなかでも魅力のある国になっていけるわけです。そうした技術の輸出は、日本企業の利益にもつながり、国が富むことにもつながっていきます。そうした日本を目指すために、「25%削減」をどのように達成していくのか、具体的な中長期プランを民主党政権に早々に示してもらうことを期待しています。
日本にとって実質的、初めての政策変化。まずは恐がらずに大いに楽しみましょう!!どちらにいってもまずは苦しい道です。それを乗り越えるには、楽観的・前向きな姿勢が大切ですよ!!

