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-社長コラム-「新浪です」 | 「お客さまに、より近く」この想いを胸に、ローソン社長・新浪剛史がコンビニエンス業界のあり方や、取り巻く社会の過去・現在・未来を率直に語ります。

子育てで明るい日本に!

子育てと景気の"無視できない関係"

いろいろなお店で、もちろんローソンでもそうですが、おじいちゃんやおばあちゃんがお孫さんのためにいろいろとお買い物をする姿をよく目にします。考えてみると、これ、内需においてかなり大きなインパクトがあるものです。「人口が減っても、1人当たりの国内総生産(GDP)が増えることになるから、生活が豊かになるよ!」なんて言っている人たちもいますが、それは数字の上だけでの話。やはり人口が増えないことには、社会が元気にはなりません。元気こそが幸せにつながるのではないでしょうか。

人口が増え、子どもや若い人が多くなると、世の中には活気があふれます。もちろん子育てには苦労もありますが、そうした苦労があるからこそ人に対する思いやりなどが広く生まれます。1人あたりのGDPなんかより、愛情あふれる世の中こそが今日本に必要なのではないでしょうか。

子育てをしていると、明らかにものの考え方が変わってきます。残念ながら諸処の事情で子どもを持つことができない方々もいらっしゃいますが、周りにたくさんの子どもがいる社会になれば、その笑顔から全体が明るくなります。人が育ち、世界が明るくなることは、生きる喜びを与えてくれることにもつながります。

しかし、人によっては子育てにおけるリターンがすべてよいとはいえない場合もあります。子どもがいて「よかった」とは思うけれど、それにまつわるいろいろな苦労もあります。教育などにお金がかかります。したいことができなくなるというマイナス面もあります。

それでいながら、いまの社会にはこのデメリットをカバーするものがなかなかありません。そうなれば、子どもを持つことにみんな尻込みしてしまい「とりあえずはいまの生活を壊さず、エンジョイしよう」という方向を目指してしまうかもしれません。しかし、そんな世の中では本当の楽しみや幸せを享受できないのでは、という気が大いにするんですね。

海外の子育て方法の良さを日本の社会にも

世界的に不況の現在、これを打破するひとつが子どもが増えること、つまり「人口増加」ではないかと思っています。5年・10年先を見ると、これからインドや中国が景気を引っ張る可能性は十分にあり得ます。また、アメリカも世界的に見ればまだまだ経済力のある国です。

つまり、人口は景気のバロメーター。人口の多い国が今後の景気をリードしていくんです。いくらいろいろ言ったって、人口が増えない国に「景気を良くしよう」とか言ったって無理な話。本当の景気というものはとても心理学的な、特に社会心理学的な要素が強いんですから、やはり社会が元気でないと景気は良くならないでしょう。

そういう意味で現在の日本に必要なのは、ここ「人口を増やす」に一点集中し、政府がインフラから何からすべてを行うような体制を作っていくことでしょう。 アメリカでは、親の代わりに子どもの面倒を見てくれる「シッター」という便利な職業があります。企業でシッターを雇っているところもありますが、基本的には個人が収入の中で雇い、子育ての一環に役立てています。とはいえ、アメリカという国は共稼ぎが多く、離婚も多いわりには、働く人の子育てを支援するような仕組みができていません。そうした不安からか、心を病む人も少なくなく、セラピストにかかることがごく普通に行われています。

今後の日本では、アメリカをそのまま目指すのではなく、共稼ぎをするにしても「ある一定の軽度で」ということを企業が確立していくことが必要です。

子育てをしながら働く女性を応援したい

子育て中の女性は職場を離れ、休職するケースが多いです。しかし、企業にとっては女性の力はとても重要な要素なので、早急に戻ってもらうためには在宅勤務や時短勤務の整備などが必要となってきます。

そうなると、子どもを安心して預けられる場がもっとたくさんなくてはなりません。母親である女性の職場の近くに、その雇い主の企業なり官公庁なりが保育園や託児所などを確保し、その上で午前10時半出社・午後4時半退社などを認可するとか、子どもが病気になったら在宅で仕事をしてよいなどの配慮、それを行うだけのIT環境を整えてしかるべきです。

しかし、それを企業だけがやっていくのはなかなか大変なので、率先して取り組む企業に対しては課税を減額するなどの実質的減税の措置を国にエンカレッジしてもらいたいですね。子育てで大変な思いをしながら生活のために働かなくてはならない人たちに対して、社会的インフラのきちんとした仕組みをつくることが大切です。

その考えをもとに、私たちローソンでは従業員への子育て支援策として、本社と関東支社で祝日に出勤する従業員向けに「祝日託児所」を設置したり、在宅勤務の実験を続けています。また、創立30周年の記念事業として、お客様のアイデアをもとにした子育て支援店舗「ハッピーローソン」を横浜市の山下公園内につくりました。高齢者の多い地域では「シニアにやさしいローソン」のコンセプトのもと、おじいちゃん・おばあちゃんとお孫さん、あるいは血縁関係のあるわけでもない地域の高齢者と子どもが一緒に遊んだりおしゃべりしたりできるような"憩いの場"をつくっています。子どもの楽しげな声がいっぱいに響く店舗は、やはり活気があってよいものですよ。

周りにたくさんの子どもがいる社会になれば、その笑顔からみんなが恩恵をもらいます。そういうことが「ハピネス」=活力をつくる。子どもがいれば、おじいちゃん・おばあちゃんはいつも笑顔になれるし、生きる喜びを感じます。お父さん・お母さんは、時にはとても大変な思いをするけれど、やはり人間としての成長があります。3世代に渡って良い影響が出て、それとともに世の中が明るくなっていくところに、子育ての「本質」というものがあるような気がしています。

次の国づくりには高齢化社会を脱する、少子化対策が必要不可欠なのです。